「ひよこの家」視察報告会by不登校の子どもの居場所をつくる会

2019年11月03日

これまた1週間前の話になってしまいましたが、不登校の子どもの居場所をつくる会による「ひよこの家」視察報告会が10月27日、市役所の2階の会議室で開催されました。
市長や市の教育部長など職員、それから議員の方もたくさん参加してくださって、参加者は総勢50名でした。
不登校の問題に対して、関心の高さが示されたように思います。

6月に私も一緒に行った、栃木県高根沢町の「ひよこの家」。
ひよこの家は、高根沢町の適応指導教室です。
適応指導教室というのは、文科省により「不登校児童生徒に対して、学校生活への復帰を支援するため」に指導を行うところと位置付けられています。
「学校に復帰すること」が目的の施設なんです。
でも「ひよこの家」は違います。

「ひよこの家」は16年前の開設以来一貫して表面的な学校復帰をめざしたりはせず、苦しんでいる子どもたちがゆっくりと心と体を休ませ充電できる場、安心して心を休ませられる場として位置付けられてきました。
こんな施設ができたのは、当時の町長、今は参議院議員をされている高橋克典氏が『不登校新聞』を読むほど、不登校に対する意識の高い町長だったからのようです。
当初、高根沢町の適応指導教室は体育館の片隅にあり、子どもたちもあまり利用していなかったそうです。
高橋氏が、こんな人目に付くところではダメだ、子どもたちが安心して過ごせる場を探せと指示し、町長のトップダウンで「ひよこの家」が作られたそうです。

いつ来て、いつ帰っても大丈夫。
色んな使い方があって良い。
子どもが自分で「学校に行く」という選択肢を見つけるのを待つ、そんな場となっています。

高根沢町では新任の先生方への辞令交付時に「ひよこの家」の話をして、万が一クラスに不登校の子どもが出ても「ひよこの家」があるから大丈夫と話しているそうです。
PTA総会の資料にも「ひよこの家」のパンフなどを入れていて、「ひよこの家」が広く市民から認知される場となっているそうです。
子どもたちも「今日は○○君はひよこの家に行ってます」とか、そんな会話が日常会話になっていて、「ひよこの家」が決して特別な場ではないようです。

「ひよこの家」の予算は年間1300万円。
ほとんどが人件費に費やされているそうですが、家賃も月6万円かかっているそうです。

吉川市にもこうした子どもたちの居場所をぜひ作ってほしい、それがこの報告会の目的でした。
「学校復帰を目的としない子どもたちのための官民連携の居場所つくりと、それを周知すること」が、会のみなさんから提案されました。

昨年の秋、不登校の子どもの親の会に参加したときに「不登校の子どもたちの居場所をつくりたい」という声を聞いて、「ひよこの家」に視察に行くことを提案させていただきました。
そして「ひよこの家」が本当に素晴らしいと感じ、報告会をぜひ開きたいと考え、皆さんと一緒に準備してきました。
今回の報告会をきっかけに、市の適応指導教室「宙」が「ひよこの家」のように変わっていくとか、またはそれ以外に不登校の子どもたちの居場所ができたら、本当に素晴らしいと思います。

市長は「政治を変えないと不登校の問題は解決できない」
「居場所を作ればすべてが解決するわけではない」
「民間で居場所を作ってほしい」
「官民連携で何かできるのではないか」と発言されました。
また適応指導教室「宙」を所轄する少年センター長は、
「ひとりひとりに会った居場所づくりが大切」
「多種多様なサポートも準備していく必要がある」
「学校復帰を目的としない支援も考えていく必要がある」
と発言されました。
今年に入って適応指導教室「宙」は柔軟な対応ができるように変えてきているとも発言されていました。

こうした発言が本当に活かされて、学校に行かない子どもたちが安心して過ごせる場、多様な学びが保障された居場所づくりが実現することを心から願います。

余談ですが、私が不登校の子どもの親の会に参加するようになったのは、約4年前の選挙が終わった直後に開かれた「7人の女性議員を囲む会」がきっかけでした。
そこに参加された親の会のメンバーの方が、「不登校はその子だけの問題ではなく、家庭だけの問題でもない。学校全体の問題であり、社会全体の問題。女性議員の皆さんもぜひ一緒に考えていただきたい」と発言されました。
その言葉を聞いて、私も一緒に考えさせていただきたいと思い参加させていただくようになった次第です。
親の会の皆さんも、不登校の子どもの居場所をつくる会の皆さんも思想信条は全くそれぞれで、決して「共産党の息のかかった組織」とか私個人が政治目的でやっているとか、そういうものではないことを改めてお伝えしておきます。
誤解のないようにお願いします。