「加齢性難聴の補聴器購入に市の助成を求める請願」、本会議でも無事採択されました(⋈◍>◡<◍)。✧♡

2022年03月20日

日本年金者組合埼玉県本部吉川支部(代表:塩沼忠光さん)から提出された「加齢性難聴者の補聴器購入に市の助成を求める請願」は、14日の本会議で賛成多数、無事に採択されました。
私は日本共産党吉川市議員団を代表して、賛成討論をさせていただきました。

難聴は厚労省も認める認知症の危険因子

厚労省の『認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)』には「難聴は認知症の危険因子」と明記されています。
2011年、米国で約600人に対して行われた研究の結果、難聴のない人に比べ、認知症発症の割合は軽度難聴で2倍、中等度難聴では3倍でした。
こうした研究結果に鑑み、2017年、国際アルツハイマー病会議においてランセット国際委員会が認知症の症例の約35%は潜在的に修正可能な9つの危険因子に起因する」と発表しました。さらに2020年には「難聴は最も大きな危険因子」と指摘しています。
難聴のために音の刺激や脳に伝えられる情報量が少ない状態にさらされることで、脳の萎縮や神経細胞の脆弱化が進み、それが認知症の発症に大きく影響することが明らかになってきています。昨今では、難聴を補正し「良い聞こえ」を維持することが認知症予防につながると考えられています。
「潜在的に修正可能」とは「本人が意図すれば改善できる認知症の危険因子」という意味であり、9つの危険因子とは「11~12歳までに教育が終了」「高血圧」「肥満」「聴力低下」「喫煙」「抑うつ」「運動不足」「社会的孤立」「糖尿病」です。

「聴力低下」には未だ対策がとられていない!

文教福祉常任委員会での審査では、認知症の危険因子は難聴だけではないとの意見が出されました。
その見解は間違いではありません。
ただ「高血圧」「糖尿病」については、厚労省は1997年ころから「生活習慣病」と名付け、生活習慣を変えることで予防できるとして相当な力を入れて取り組んできました。
特定検診・特定保健指導を強化し、生活習慣病のリスク要因として「肥満」「喫煙」「運動不足」は保健指導の中でもしっかりと取り組まれています。
「喫煙」については禁煙外来を保健適応にするなど、様々な禁煙施策が実施されてきました。
特に吉川市の特定検診・特定保健指導の実施状況は健康増進課の職員のみなさんの奮闘で、県内でもトップクラスの実績です。

こうした中で着手されていないのは「聴力低下」への対応です。
75歳を過ぎると難聴者率は40%前後に上ると言われています。
2025年には団塊の世代が75歳、後期高齢期を迎えるということでこれまで様々な施策が行われてきましたが、難聴対策による認知症対策も今、いよいよ本格的に取り組むべき時を迎えているのではないかと考えます。

補聴器を必要とする人の4人にひとりが経済的理由で購入できない現実

一般社団法人 日本補聴器工業会の「JapanTrak 2018 調査報告」によると、日本には約1,900万人の難聴者がいますが、補聴器を使用している人は18%に過ぎないとのことです。
聴力の低下を自覚していない人が47%、自覚していても補聴器をしていない人が35%です。
調査対象者の24%が補聴器を使用しない理由として「購入する経済的余裕がないから」と答えており、本来補聴器を必要とする方の4人に一人が経済的理由で使用できない現実が改めて明らかになりました。
購入する経済的余裕のない方に購入費用を助成することの重要性を指し示す調査結果だと思います。

制度設計ももちろん大事

ただし購入費用を助成するうえでは、しっかりとした制度設計をすることも重要だと考えています。
同調査では補聴器専門店で購入した補聴器は他の場所で購入したものより満足度が高く、インターネットで購入した補聴器の満足度は著しく低いとの報告もされています。インターネットで購入した補聴器は「タンス補聴器」となっているとも報告しています。
補聴器の必要性の有無についての医師の診断、補聴器専門店で認定補聴器技能者のサポート、また補聴器装着後のトレーニングやアフターケアが十分に行われてこそ、補聴器装着の効果が発揮されると考えられています。

議員の役割とは?

文教福祉常任委員会では「本請願は細かい点が触れられていない」「実施のみを望む」といった発言もありました。しかし請願理由を読めば、単なる費用助成のみを求めた請願ではないことは明らかです。また、請願は日本国憲法16条で日本人だけでなく外国人にも認められた権利です。請願法第2条では、請願にあたって必ず記載しなければならないのは請願者の住所と氏名、請願の内容です。
 細かな制度設計まで請願者に求めることは間違いだと考えます。市民の請願を真摯に受け止め、市政へとつなぎ、今度は職員のみなさんが他市の事例やこれまでの様々な調査研究結果に学びながら制度を考え、私たち議員もともに学びながら制度の在り方について発言していく、それが私たち議員の役割だと思います。

市民の会・無所属の岩田京子議員も賛成討論をされました。
そのあと未来会議よしかわの林みき議員から「趣旨採択」との動議が再び出され、未来会議と公明党の6人の議員が賛成、賛成少数で動議は否決。
そのあとに行われた採決で未来会議と公明党の6人の議員が反対しましたが、賛成多数で採択されました。
市民の願いを市政に届けられたことを、本当にうれしく思います。

年金者組合吉川支部のみなさん、本当にお疲れさまでした。