「申請主義」の行政を改めて実感

2022年01月08日

またまた母の話の介護保険「負担限度額認定証」の話の続きです。

岐阜の市役所から電話がきて、「負担限度額認定証」は申請して初めて適用されるものであり、岐阜では申請していないので認定証は発行できないと言われました。
岐阜からくる電話がそういう内容であることは予想していたことであり、驚きませんでした。
が、何度も同じことを書きますが、申請しなかったのは岐阜の市役所に確認しに行ったのに「非課税ではない、ギリギリ課税になる年金額なので負担に感じるかもしれないが仕方がない」と職員の方が答えたからでした。
そのことを再度話しましたが、同じ過ちを繰り返すことのないように関係部署で共有するように取り計らったので…、とのお話。
確かに私が相談に行った記録も残されていないでしょうし、もしあの時に無理やりにでも申請書を出していればその書類は残されていて、もしかしたら遡って認めてもらうことができたかもしれません。
が、市が「対象外」だと認識している人が申請書を提出して、市は受け付けるものでしょうか?
対象外だと言われながら、念のためにと申請書を提出する・・・、そんな人が実際にいるものでしょうか?
なぜ私が相談に行ったときに、岐阜の市役所は丁寧に話を聞き取り、調べてみてくれなかったのでしょうか?
そこまで納得のいかない気持ちがあるのなら確定申告してみればよかったんじゃないかという気持ちもわいてきますが、市役所で間違いないと言われてしまえば、通常人はそれを信じるのでは・・・?

担当者の方は何とか対象にできないかと手を尽くして調べてくださったので、そこには感謝しています。
それでもつくづく、改めて、日本の行政は「申請主義」なのだと感じてしまいます。
どんなに良い制度があっても、申請しなければその制度は受けられない・・・。
そして申請しないのは、申請しない人が悪い。
たとえその制度を知らなかったとしても、知らない方が悪い・・・。
そういう仕組みだと感じます。

例えばマイナンバーカードがもっと普及したら、こういう問題はなくなるのでしょうか?
フィンランドのように行政の方から通知が届いて、「あなたはこの行政サービスの対象だ」と教えてくれるような仕組み。
申請しなくても自動的に対象者を把握して、行政が率先してサポートしてくれるような仕組み。
そういうものが本当は必要なんだと思います。
今も同じかどうかは知りませんが、パートナーの転勤でロンドンで一時暮らした方は、向こうで妊娠して初めて受診した日の翌日には、アパートの玄関に牛乳(?)が届けられていて驚いたという話をしてくださいました。
なんでも申請主義の日本とはずいぶん違うと、本当に驚いたものでした。

マイナンバーカード(ケラカード)が100%普及していて国民がそのカードを非常に大切に思っているフィンランドと、なかなか普及が進まない日本。
この違いは、国に対する信頼感の違いだとも言われています。
確かに、どんな人に対してもきちんと行政サービスを徹底させようとする国と、申請した人しかサービスが受けられない国の違いは大きいと思います。
今、政府はマイナンバーカードの普及に躍起になっていて、テレビでも盛んにコマーシャルされています。そこに一体いくら、税金を費やしているのだろうと思うほどです。
でも本当は、今政府が努力するべきことは国民の信頼を得ることではないかと思います。
申請主義をやめて、必要な人すべてに必要なサービスを提供するような姿勢に切り替えること(だけではないけれど)が国民の信頼につながるのではないかと思います。
きちんとサポートされていることが実感でき、そして自分も便利だと実感できるなら自ずとマイナンバーカードは広がるでしょうし、そういう姿勢に切り替えるのでなければ、いくら魅力的な芸能人を使ってコマーシャルしても普及は無理じゃないかと私は思います。

ついでと言っては何ですが、今月3日付、しんぶん赤旗の記事をご紹介します。