『高校生ワーキングプア 「見えない貧困の真実」』

2023年01月04日

あけましておめでとうございます。
新しい年がより良き年でとなりますよう、心から願っています。
今年もどうぞよろしくお願いします。

年末は必死で大掃除をして過ごしました💦
そしてお正月はとにかくたくさん本を読もうと思い、過ごしました💖
昨日読み終えた本は『高校生ワーキングプア「見えない貧困の真実」』(NHKスペシャル取材班 新潮文庫)です。2017年2月に放送された番組が書籍化されたものです。
相対的貧困水準で暮らす高校生が親の負担を少しでも減らしたいとアルバイトをすると、世帯収入としては増えてしまうので貧困世帯とカウントされなくなってしまう現実。勉強するためにバイトをしているのに、バイトで疲れ果てて勉強に集中することができず、何のためにバイトしているのかがわからなくなってしまう現実。
高校生の求人は1980年代から上昇を続けましたが、1992年の152万件超をピークに急速に減少。2011年には12万件台にまで低下していて、20年で9割もの就職先が失われているとのこと。その結果高卒で就職する人は2割にとどまり、8割の生徒は大学や短大・専門学校などに進学しているとのことです。
高卒で働きたくても安定した収入が得られる仕事がないから進学をするのに、進学するためにはお金が必要で、子どもたちは「奨学金」という名の多額の借金を背負い、進学。

34歳以下の二人に一人が奨学金を利用し、その6割が有利子奨学金。1日以上の延滞納者数は1989年約13万人、2003年約22万人、2014年には約32万人(@ ̄□ ̄@;)!!
滞納者の8割は年収300万円未満で、非正規労働者は4人にひとりが滞納を経験。奨学金返済の負担感について、「少し苦しい」と答えた人は27.7%、「かなり苦しい」と答えた人は11.3%。
非正規老奏者では56.0%が「苦しい」と答えているとのこと。そして行き詰って自己破産に陥ったり、返済のために過酷な職場で無理をした末に過労自殺したりと、非常に深刻なケースも報告されているとのこと。

5年前に放送されたものですが、今も大して状況は変わっていないだろうと思います。
2017年から住民税非課税世帯の学生のうち、高校が推薦し、一定の成績を収めた約2万人を対象に「給付型」奨学金が始まりました。が、OECDの調査では「日本は教育費に占める公的支出の割合が低く、大学などの高等教育に過程が負担する割合が非常に高く、イギリスに次いで第二位」「日本以上に授業料が高い国はあるが、こうした国は給付型奨学金の制度が充実している。OECDの中で給付型奨学金がないのは日本と、無償教育の充実したアイスランドだけ」とのことです。
ようやく「給付型」奨学金がスタートしたと言ってもその金額も2~4万円で、OECDの中で最も低いレベルの給付額とのことです。

こういう本を読んで本当に心から思うのは、岸田さん、軍事費増やしている場合じゃないですよ!!ということです。
子どもたちの暮らし、教育、医療、介護、いろんな面で日本はまだまだ全然不十分で、個人の尊厳が大切にされた社会に届いていません。お金をかけるところが全然違います。トマホークとか敵基地攻撃能力とか、国民は全然必要としていません。子どもたちが安心して暮らせる国、子どもたちがお金の不安なく自由に学び、職業を選択することができる国をつくることの方がずっと大切なことだと思います。
為政者にはそういう社会を目指していただきたいと思います。