なぜ医療機関への財政的支援の強化が必要なのか

2020年10月06日

3カ月以上前の話になりますが、6月議会で私が提案した「医療機関への財政的支援の強化を求める意見書」が反対多数で否決されたことは既にお伝えした通りです。
提案したとき私は、まさかあの意見書が否決されるとは夢にも思っていませんでした。
間違いなく、全員一致で可決されるものと思っていました。
コロナ感染者への医療提供に命懸けで奮闘し、コロナ以外の患者さんを感染から守り、それでも経営がひっ迫する深刻な状況にある医療機関に財政的支援を強化するべきだと、誰もが間違いなく考えるはずだと思い込んでいました。
残念ながら、結果はそうではありませんでした。
自民党・公明党・未来会議の議員が反対し、否決されたのでした。

あの時、公明党の小野議員から「財源についてはどう考えているのか」と質問をされました。
私は「政府が考えるべきだ」と答えた方が良いと思いつつ、あの時話題になっていた10億円の予備費だってある、そういうお金を遣えばできるというような答弁をしてしまいました。
そして思った通り、同議員から10億円の予備費に共産党は反対しているじゃないかと反論されました。
私が予備費と言ったのは、そういうお金だってあるのだから財源はあるはずだという意味で言ったのですが、それが反対の根拠になったのだと思っています。
反対されるはずのない意見書だと思い込んでいた自分が甘かったのだと、今も思っています。

医療生協さいたま生活協同組合さんが発行する広報誌、『健康と平和』10月号が届きました。
「健康と平和」には毎回さ~っと目を通していますが、今月号は6面に目が留まりました。
「コロナ禍での医療機関の経営難」として、埼玉協同病院の事務長さんが記事を書いています。
それを読むと、なぜ医療機関への財政的支援が必要なのかがよく分かります。


元々医療機関は経営難で、2年に一度の診療報酬の改定のたびにマイナス改定が続いていて、2018年度の経常利益率は0.1%。
それに対して銀行は10.8%、医療機器メーカーは8.3%、製造業は6.6%、サービス業は5.0%。
医療機関はそもそも本当に厳しい状況の中で経営を続けてきたということ。
そして今回のコロナでの患者さんの受診控えや発熱対策への対応で新たな体制を組んだこと、予定していた手術も延期したこと、厚労省の指示で健康診断も休止したこと。
そしてその一方でコロナ患者さんの受け入れのために、一般の患者さんの入院を抑制したこと。
そして個人防護具や衛生材料の不足により高騰したこと。
大きな減収の一方での、支出の増大。
やっぱり、医療機関への財政的支援は本当に必要だと改めて思います。

こんな状況の中で、地域医療を守るために医療機関が奮闘している状況がよく伝わってくる記事です。
医療機関が経営難で閉鎖してしまったら地域医療に空白を生じる、医療機関を守るのは国の責任だ、そういう事を訴えている記事だと思います。
ぜひ、ひとりでも多くの方に読んでいただきたい、特に市町村議員であれ都道府県議員であれ国会議員であれ、「議員」という仕事をする方々にぜひとも読んでいただきたいと思う記事です。

医療生協さいたまさんは9月、大野元裕埼玉県知事に対し「緊急財政支援を求める要望書」を提出したそうです。
私も12月議会には、今度は県に対して医療機関への財政的支援の強化を求める要望書を提出したいと思いました。