オドロキの反対討論~防衛費を「GDP比2%」に増額することに反対する意見書

2022年09月27日

議会最終日の昨日、意見書の提案ではもう一つ驚くことがありました。

今回私の先輩の遠藤義法さんは「防衛費を『GDP比2%』に増額することに反対する意見書」を提案しました。
岸田首相は、自民党安全保障調査会の「5年以内にGDP比2%以上の防衛費の増額の提言を受け、今年6月の臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」に「防衛費を5年以内に抜本的に強化する」と盛り込みました。
更にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議に出席した岸田首相は、基調講演で「GDP2%を念頭に、日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する」と表明しました。
日本の防衛費は今世界第9位ですが、もしそれが現実的なものとなると、アメリカ・中国に次いで第3位となります。
そして岸田首相はその財源について明らかにせず、増税か社会保障費の大幅削減か、国債を大量に発行するかで財源をつくるしかなく、岸田首相は国会でそのどれもが選択肢だと答えています。
コロナ禍、アベノミクスの失政による円安、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、今見増うの物価高騰の危機にあります。
給与は上がらず、年金は下がり、事業者も利益を上げるために苦慮し、出口の見えない不況の状況にあります。
国民も生活苦にあえいでいます。
こうした日本経済の厳しい落ち込みの中で防衛費2倍の増額に国民は耐えられる状況になく、日本経済を一層落ち込ませてしまうことになる。

・・・こういった趣旨の意見書でした。

いつも通り、未来会議や公明党からは様々な質問が出されました。
しかし何も質疑をしなかった議員から反対討論があったことに、まず驚きました。
そしてその討論の内容は、
「今ウクライナの状況が、我々に重い課題を突き付けているか。あまりにも軽々しくて、よそ事みたいな立場に立った提案と議論の展開。2%の問題もこれから具体的に国会で話し合う。それに先立って本当に軽々しい議論、こんなことでいいのかという思い。」
「日本は平和憲法を堅持している。武力による攻撃は認められない立場。外交努力で平和的に解決していきたい、そういう立場。しかしこの7カ月、そういう努力もある種の限界に来ていて、外交努力に確かな進展が見られれば良いと思うが、必ずしもそういう状況にはなっていない。」
「そういう中で中国がどう出てくるのか、台湾海峡には大きな緊張が走っている。他人事だと受け止めて、そういう感覚で議論すべきではない。国際的な動向、中国・アメリカの動向を見据えた中での国際的な関係と防衛費は全部繋がっている。そういうことをこれから国会で検討しようとしている中で、この提案は先走り、今判断する材料としては軽すぎる」。
また、市議会議員は市政のことを考えていれば良いと言った趣旨の発言もありました。

本当にひどい発言だなぁと思います。
一体誰が、軽々しく他人事のように提案しているというのでしょうか。
防衛費が2%になったら、今の倍の予算になったら、そのお金はどこから出されるのでしょうか。
国にはお財布は一つしかないのです。
税金を増やすか、社会保障費を減らすか、国債という名の借金を増やすか。
そのどれもが国民生活に深刻な影響を与えるものであり、私たち市議会議員にだって無関係な話ではありません。
社会保障費が削減されて、今以上に国保税や介護保険料が高くなったら、介護保険サービス利用料が高くなって、今以上に使えない介護保険制度になって、困惑する市民がたくさん生まれてしまったら一体どうするのでしょうか。
そんなことにならないように、外交努力で平和を維持してほしい、そうするべきだと思います。
そもそも防衛費の2倍化を求めているのは誰でしょう。
アメリカが世界各国に要のためいるのは、NATO加盟諸国や日本に防衛予算を増額させて、そして自国の武器輸出を増やして、結局は自国の利益のためにつなげるという算段ではないのでしょうか。
そういうものに乗って国民生活を苦しいものにすることや、戦争する体制を整えていくことが果たして平和の維持につながるのでしょうか。
そういう問題を私たちは提起しているのです。

この意見書に賛成したのは共産党の3名の議員と岩田京子議員・降旗聡議員の5名で、反対多数で否決されました。
私は素朴に疑問に思うのですが、私たちは戦後に生まれて戦争をしない国の中でここまで生きてきました。
この先どうなるのかはわかりませんが、当分は戦争のない日本が続いていくでしょう。
でも憲法を変えようという動き、特に平和憲法を変えてしまおうという動きがあり、防衛費を増やして敵基地を攻撃する力までつけちゃおうとする動きが加速する中で、私たちの子どもや孫、そしてそのまた子どもたちが平和裏に生きられる保証がないように思います。
だけどみんな、そんな社会で自分たちの子どもや孫、其の子どもたちに生きてほしいと思うのでしょうか。
やっぱり日本母親大会のスローガン通り、「命を生み出す母親は命を守り、育てることを望みます」と、戦争のない社会で子どもを産み育てたいと思うのではないでしょうか。
「青い空は青いままで子どもたちに伝えたい」と誰もが思うでしょうし、映像でしか見たことがありませんが東京大空襲や原爆の悲劇を子どもたちに味合わせたいと思う人がいるでしょうか。

この意見書を審議する中で、どこからか「平和ボケ」という不規則発言が聞こえてきました。
でも緊張があるから軍備を増強して備える、いつでも戦えるようにする、そういう発想に疑問を感じます。
政治は常に「戦争が起きないために力を尽くす」という発想であるべきだと思います。