コロナ禍の在留外国人の人権保障を

2020年11月11日

今日のしんぶん赤旗を読んで、びっくりしました。
3面に掲載されたこの記事、つい最近私の先輩の遠藤義法さんが悩みながら支援していたケースと全く同じ話だったからです。
同じような状況で困難に陥っている外国人が、実は「途方もなく多い」という現実に、改めて驚きます。

コロナの影響で仕事も在留資格も失い、自国に帰ろうにも国境は封鎖・・・。
そういう方がとても多いのだと思います。
強制退去のため本来なら施設に収容されるはずなのに、その施設もいっぱいになっているのか、一定の条件のもとで収容停止、「仮放免」として身柄を解かれている方がたくさんいらっしゃるようです。
その方々は就労することもできず、働けないから収入もなく、住民票もないので何ら保障が受けられず、生活保護さえ受給できない・・・。
そんな状況です。
遠藤さんがかかわっていたケースも、大変な重い病状でありながら受診することができずに困っていました。
もちろん全額自己負担でなら、受診はできます。
でも、そんなお金がどこにあるのでしょう?
無料定額診療所に行ってみたらどうかと提案してみましたが、無料定額診療所は保険証を持っている人が対象で、もともと保険証のない人を診察することはできないようでした。
他にも貧困に対して手厚く温かい支援をしている複数の医療機関に、遠藤さんが電話をかけていましたが「Welcome!」という病院はなく、途方に暮れていました。

私ははたで見ていただけですが、見ていて本当に心が痛みました。
同じ人間でありながら、「一人の人間としての尊厳が守られていない」「人権が保障されていない」と感じるのです。
医療さえ受けることができれば、もっと楽になることができる・・・。
その程度には医療が発展しているのに、それを享受することができない・・・。
苦しむ姿を黙ってみているしかない・・・。
こんな辛いことがほかにあるでしょうか。

「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住蓮)は、新型コロナウイルスで困窮する外国人の実態をまとめた報告書を発表し、国に緊急の支援措置を求めています。

https://migrants.jp/user/news/479/509zefpyzusllwdhdsnue0rdsao6v3ms.pdf

1.特別定額給付金の対象者を広げてください。<総務省> 
2.就労可の在留資格を付与してください。<法務省> 
3.誰もが「屋根がある住まい」を確保できるようにしてください。<国土交通省> 
4.誰もが生活保護を受けることができるようにしてください。<厚生労働省> 
5.すべての難民申請者の生活を保障してください。<外務省> 
6.誰もが生活支援制度へアクセスできるようにしてください。<厚生労働省> 
7.就学援助を、公立学校に通い経済的に困窮しているすべての子どもに適用してください。 <文部科学省> 
8.民間シェルターや同行支援・通訳支援活動を行う民間団体への緊急財政支援をしてください。 <法務省><総務省>
9.誰もが雇用保険の特例を活用できるようにしてください。<厚生労働省> 
10. 誰もが児童扶養手当をもらえるようにしてください。<厚生労働省> 
11.日本で生まれた子どもたち等に在留資格を付与してください。<法務省> 
12.誰もが病院に行けるようにしてください。<厚生労働省> 
13. 誰もが入院助産制度を利用できるようにしてください。<厚生労働省> 
14.すべての留学生および朝鮮大学生に学生支援緊急給付金を支給してください。<文部科学省> 

至極当然の要望だと思います。
ぜひ実現していただきたいと思います。

それから、こんな記事も見つけました。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020050100810&g=soc

「仮放免」が増えているのは三密を避けるためのコロナ対策。
コロナ対策のために施設に収容されるはずの外国人が「身柄開放」という名前で地域に解き放たれ、その方々の人権が保障されず、いのちとくらしが脅かされている・・・。
とてもおかしな話です。