リアルな声が寄せられています②

2020年04月30日

教育現場で働く方々からも、リアルな声が届けられています。

2月28日に安倍首相から、新型コロナウイルス対策として全国全ての小学校・中学校・高校・特別支援学校に対する臨時休校の要請が出されました。
その日は金曜日でした。そして土日を挟んで、3月2日~休校が実施されました。
3月は通常お別れの時期でもあります。クラス替えがあり教職員の異動があり、転校する子もいる中で、サヨナラもできない今年の3月でした。

学校の現場では、3月の授業や習熟度の確認もしないまま、1~2月の成績だけで通知表をつけなくてはなりませんでした。日本では通知表は絶対視されています。その通知表をどうつけるのか・・・。
現場では大変な苦悩がありました。
また教材費について、保護者から徴収し、教材も購入したけれど、授業が実施できなかったので使えなかったものがあり、そのお金をどうするのか。
先に購入し、後で徴収しようとしていたけれど、やはり使えなかった教材の集金はどうするのか・・・。

吉川市では卒業式はクラス別に、教職員と卒業生のみで行われました。
卒業証書授与と校歌斉唱のみの卒業式だったそうです。

4月8日の入学式は、7日に中止が発表されました。
楽しみにしていた子どもたち。
ランドセルを背負ってみたり、入学式用の洋服を準備したりして待ち構えていた子どもたちがたくさんいたのに、前日になっての中止の発表。
子どもたちの落胆、想いの持っていき場もありません。

吉川市では家庭の事情で預かりが必要な小学校1年生から4年生、及び特別支援学級の児童を学校で預かっています。保護者の送迎とお弁当の持参が求められていますが、お弁当については希望者への弁当販売が4月から始まりました。
登校する児童数は勿論学校によって違いますが、大雑把に言って数十人単位というところだと思いました。
3月の頃はグランドや体育館で遊ばせたりもしていたそうですし、クイズを出してみんなで笑ったりする時間が取れていたそうです。
が、「3密を避ける」ということが重視されるようになり、それもできなくなりました。
ひとりひとり机を決めて、密着しないように配慮しています。
先生方も教えるでもなく、見ているだけ。小学校1~4年生の子どもを相手に、大きな声で一緒に笑うこともできない・・・。

八潮市では既に8月7日までを1学期として、2学期を8月18日スタートとし、夏休みは10日という方向性が示されているそうです。
しかし、夏休みは通常どこの学校でもプール(水泳指導)をやっています。
プールは気温と水温を足して50度以上で実施とされていますが、気温が35度以上であったり、水温の方が気温よりも高いような場合には実施できないこととされています。
8月10日前後の、八潮市が夏休みとしようとしている期間は水温が一番高く、例年水泳指導を見合わせてきた時とのお話もありました。もし八潮市のように夏休みを短縮しようとしたとき、水泳指導はどうするのかという問題も出てくるそうです。

吉川市はまだ決まっていません。
学校がスタートしても、「2カ月間休校した子どもたち」をかつて経験したことがありません。3月~4月、子どもたちに勉強を教えていません。
3月の授業で何を教えていないのか、学校やクラスによってばらつきがあります。卒業やクラス替えがある中で、そのばらつきにどう対応していくのか。教職員も異動があり、担任するクラスも替わる中で、何を教えていないかの情報も前任者のメモでしかわからない状況・・・。
開校して、スタートダッシュで勉強を教えるというのは、先生たちにもプレッシャーが大きく、授業についていけない子どもも増えてしまうのではないか・・・。
また、開校しても体育の授業はどうするのか、音楽も声を出さずに授業するのか。40人の空間は狭く、密集は避けられない・・・。
給食も、みんなで前を向いて無言給食にするのか。
授業の遅れを取り戻すために、陸上大会や遠足など子どもたちが悦ぶ行事を中止しようという意見も一部には出されているそうです。
開校後の学校は、いつもの楽しい学校ではなくなってしまう、管理された学校になってしまうのではないか・・・。

そんなお話でした。

新型コロナウイルスの問題で影響を受けていない人は誰もいないと、心から思っています。
その中でも、子どもたちの学ぶ権利、健やかに育つ権利、遊ぶ権利、友だちと遊びながら育むべき発達課題をどう保障していくのか・・・。
非常に難しい課題、私たちが直面したことのない課題が目の前にあるのだと感じます。