人とウィルスとの壮絶な闘い

2020年04月13日

今日読んだのは『WHOをゆく 感染症との闘いを超えて』(尾身茂著 医学書院)です。

鳥インフルエンザからウィルスが変異してパンデミックを引き起こすということは、以前から懸念されていました。
そしていろいろな研究がされたり、対策が講じられたりしていました。
鳥インフルエンザの致死率は2005年ころから、約60%と高い水準で推移していましたが、パンデミックが始まるときには致死率は数%にまで下がるとWHOは判断していました。
なぜなら、過去の新型インフルエンザの大流行の致死率が数%だった事実。
それから、致死率が60%というように高い率だと症状が重篤となり、人の異動が制限され、ウィルスの人から人への伝播が維持できなくなると考えられていました

・・この本で一番興味を惹かれたのはこの部分でした。

ウィルスも馬鹿じゃない、人間との闘いの中で生き延びていかなくてはいけない。そのためには高い致死率ではなく、低い致死率の中で人間社会の中に蔓延し、人から人に移りやすい環境が必要なんだということがよくわかりました。

そして、新型コロナウィルスが同じように、決して高くはない致死率で私たちの社会の中に蔓延しようとし、生き延びようとしている・・・。

今のこの状況が、人間とウィルスとの壮絶な闘いなんだと改めて思いました。

尾身茂さんは、新型コロナウィルス感染症対策の専門家会議の副座長であり、たまにテレビでもお見掛けする方だと思います。
WHO(世界保健機構)で西太平洋地域の事務局長も10年にわたって務められ、ポリオの根絶、結核対策、SARS制圧、鳥インフルエンザ対策と感染症と向き合い続けてきた方です。
サーベイランスに基いた、迅速に徹底的な感染症対策がとられる中で、ウィルスが撲滅されていったり、稀に散発する程度のものになっていく・・・。
そこには、壮絶な闘いがあるのだと改めて学びました。

そういう経験を経て、パンデミックが起きたときにどう対応するのか、いくつかのパターンを想定して、ちゃんとシナリオが作られていたということも、この本を読んでわかったことでした。
2009年に流行した新型インフルエンザでも、専門家諮問委員会の委員長を務められましたが、その時もシナリオに基いた対応がなされました。
その結果、人口10万人あたりの日本の死亡率は0.2、アメリカ3.3、オーストラリア8.6、アルゼンチン14.6だったそうです。
日本の死亡率は諸外国の中で最も低く、重症化・死亡の防止という目標もおおむね達成できたとのことです。

今回の新型コロナウィルスでも同様の結果が出せると良いのですが。

この本は2011年8月に発売されたもので、私は発売後まもなく買ったのですが、約10年を経て、今日ようやく読みました💦