教育・不登校フォーラムに参加しました

2022年11月23日

きよみ野ローソンさんの向かいのビルの2階にあるつばさ高等学院さんが毎年この時期に開催する「教育・不登校フォーラム」に、今年も参加させていただきました。
今回も充実した内容で、心打たれました(⋈◍>◡<◍)。✧♡
卒業生の一人がつばさスクールがどんなところか紹介してくださいました。

「学校は個性をつぶす場」

その方は小学校の頃から学校になじめず、高校生の時に不登校になったそうです。
高校を中退して、入ったのがつばさスクールでした。
その方から見ると学校は個性をつぶす場で、みんながやっていることをやると褒められる、みんなができないこと・自分だけできることをやると叱られる、そう感じていたそうです。
つばさスクールに入って考えが一変したそうです。
つばさスクールでは、みんなと同じことができないなら無理してしなくてもいい、自分のできることをやればいいという考え方で、とても気持ちが楽になったそうです。
今は大学生だそうです。
以前は毎日、「○○ができなかった」「○○がダメだった」と一人で反省会をしていたそうです。
が、それをやめて「ひとり表彰会」をやるようにしたそうです。
「○○ができた」そういうちょっとした、今日の良かった自分に自分で表彰をする。
それはちょっとしたことで良くて、『幸せ』と感じるレベルを下げる。
「○○ができて良かった」と肯定的に考えることで、生きることがとても楽になる・・・。
そんなお話でした。

不登校が必要な時もある

基調講演は不登校新聞社代表の石井志昴さんでした。
石井さんは中学2年生で不登校になりました。
その原因は中学受験で、そのために通った塾で徹底的に植え付けられてしまった「学力差別意識」。
受験に失敗するとその「学力差別意識」が自分自身に向かってきて、「受験に失敗したダメな人間」というような意識に苛まれていきました。
その頃は「踏切に呼ばれている」ような気がして、決して積極的に自殺したいと思ったわけではありませんが、「死んだら楽になるだろうな」という希死念慮もあったそうです。
石井さんは不登校になり、同時にフリースクールに通うようになりました。
そして19歳から不登校新聞のスタッフとなり、2006年から編集長に、2020年から代表に就任したという経歴とのことです。

不登校新聞社の調査では、希死念慮を一度でも抱いたことがある人は不登校経験者の実に7割に上るそうです。
またお仕事を通して数百人に取材した結果の結論として、不登校は「なぜ学校に行けないのか」その時は言葉にできないとしてもその人なりに確かな理由があり、不登校が必要な時があるとお話されました。

心が回復するまでの地図

不登校になる過程はそれぞれ、様々な理由があります。
しかし回復の過程はみんな同じだというお話が、強く心に残りました。

学校に行けなくなった時、多くのお子さんが身体症状を訴えます。
親は不安に駆られますが、これは「回復への第一歩」。
熱を出した子どもを叱る親はいません。
介抱します。
学校に行けなくて身体症状を訴える子どもに無理して学校に行かせるのではなく、その子が休みたいポイントで休ませてあげることが大事で、それは熱が出たときと同じことだと石井さんは話しました。

次に来るのは「感情の噴出」です。
噴出の仕方は様々でイライラを示す子もいれば、甘えが強くなるお子さんもいます。
思春期独特の感情とも重なるので、受け止める親はとても大変です。
が、子どもが自分で抑えることのできない噴出であり、付き合い付き合って愛情を子どもに沁み込ませていくしかありません。
大変な時間がかかる作業で、あるお母さんは「石に出汁を沁み込ませるくらい時間がかかった」と表現したそうです。

そしてその次に来るのが「言語化」です。
同じ話を時には何時間も話し続けます。
たとえば2チャンネルのヒロユキさんのような強いキャラに憧れたり、やたらとお母さんにマウントしようとしたり。
同じ話を繰り返すので、聞く方も嫌になります。
が、これは本人が自分の気持ちを整理しているだけなので、別にちゃんと聞かなくてもいい、生返事だけでもいいそうです。
時々「どう思う?」とか聞かれると困りますが、その時は「わかんない」と言えばいい。
遮らずに、最後まで聞くことが大事だということでした。

そしていよいよ親離れを迎えていきます。
不登校になったばかりの子どもは「行けない」自分に苦しんでいたり、気持ちが忙しい。
安心して、希望が持てるようになってくると「退屈だ」と思えるようになるそうです。
「ヒマだなぁ」と思うようになると、自分で道を見つけてきます。
我が子がこの地図のどの段階にいるのかを見ながら、付き合っていくことが大切とのお話でした。
ちなみに石井さんはこの地図を歩むのに6年かかったそうです。
決して短い道のりではなく、長い時間のかかる道のりなのだと思います。

教育は個別最適化の時代

不登校に対する文科省の基本方針は、「①不登校を問題行動と判断してはならない。②学校復帰という結果だけを求めない。③最終的な社会的自立を求める」です。
教育は個別最適化の時代に入りました。
ゆとり教育の失敗から「ゆとり」が良いのか「スパルタ」が良いのかとの議論の末の結論は「その人に合ったやり方が一番」というものです。
どこで学ぶかより、何を学ぶかの方が大事だとの結論に至っています。
そのために2016年には教育機会確保法が制定され、2017年には教育指導要領が改訂されました。
更に2019年には「学校復帰」の前提を変えるため、過去の不登校に関する通知を廃止までしています。

こうした時代背景もあり、不登校の子どもたちの「その後」は限りなく開かれている、不安に思わなくていい。
好きなことを好きなだけたくさんやることが大切。
そんな、不安な気持ちの最中にいる親たちを励ましてくれるような温かいお話でした。