映画『標的』

2022年10月24日

ふとしたご縁で、町田市の新日本婦人の会で頑張っている方と知り合い、今日は映画『標的』の上映会を開催されるということでお邪魔してきました。

1991年、当時は朝日新聞大阪社会部記者だった上村隆さんは、元「慰安婦」だったと実名で名乗り出た金学順さんらの証言を伝える記事を書きました。
金学順さんは映画の中でもはっきりと「女子挺身隊」の名で戦場に連行され「慰安婦」にされたと証言しています。
しかし、おそらく日本政府は「慰安婦」=売春婦だったというような立場をとっているためだと思いますが、「慰安婦」を強制連行したという事実に関しても否定的で、「慰安婦」の募集に軍や国家が関与したという事実も否定しています。
そして安部元首相が政権に復帰した2014年以降、植村隆さんへの異常なバッシングがエスカレートしていったのでした。
「売国奴」「国賊」「反日」などの誹謗中傷とともに、パートナーさんが韓国人であることも追跡されていてネットで誹謗されたり、一番ひどいのは娘さんを自殺まで追い込むというような書き込みがTwitterで拡散されたこと。
その娘さんは91年に植村さんが記事を書いた当時、まだ生まれてさえいなかったそうです。
それから採用がほとんど決まっていた大学にも「売国奴を採用するのか」と言ったような誹謗中傷が及び、契約を断念せざるを得なくなったことなど、ジャーナリストが当たり前の仕事をしたことに対して異常な執念が燃やされたのでした。

植村さんは、植村さんの記事を「捏造」だと繰り返し誹謗中傷をしたジャーナリストの櫻井よしこ氏・株式会社新潮社・株式会社ダイヤモンド社等を名誉毀損で札幌地裁に訴えましたが、「言論の自由の中で違法とは言えない」という不当な判決。
2018年11月には控訴が棄却され、敗訴が決定してしまいました。
もう一つ、植村さんは「捏造ではない」として文芸春秋と研究者の西岡力氏を名誉毀損で訴える裁判も起こしましたが、最高裁で退けられ、敗訴が決定してしまいました。

Twitterで娘さんについて「自殺するまで追い込むしかない」というようなコメントを書いた犯人は特定され、娘さんは裁判を起こしました。
裁判所からは和解を勧められたそうですが、娘さんは「こんな形でTwitterを使うのはおかしい」と言って、応じなかったそうです。
判決は求めた通りの170万円の支払いが命じられ、勝訴しました。
植村さんが起こした二つの裁判と、娘さんが起こした一つの裁判。
植村さんへの誹謗中傷を繰り返した西岡力氏と櫻井よしこ氏は断じられず、歴史修正主義者たちに踊らされて娘さんへのヘイトスピーチを書き込んだ人は重い判決を受けました。
西岡氏や櫻井よしこ氏の後ろにでんと構えていた歴史修正主義者のドンのような存在、安倍元首相ももちろん何も裁かれてはいません。
安倍元首相に対してマスコミは委縮し、「慰安婦」問題をテーマにした放送ができない状況になっています。
金学順さんの「挺身隊=慰安婦」という趣旨の証言もJNNが取材していて、そのビデオがTBSにちゃんとあるはずなのに、TBSは出そうとしません。
今回の映画での金学順さんの証言も韓国から購入して使用しているそうです。

植村さんはとっても精力的な方で、「不当判決で負けたが、本当の勝負はこれから」とおっしゃっています。
著書『私は捏造記者じゃない』も増版が決定しているそうです。
私も愛読している『週刊金曜日』の発行人兼社長でもあり、コラムをずっと書いていらっしゃいます。
私も植村さんの著書を読み、週刊金曜日を読んで、植村さんをしっかり応援していきたいと思います。

大切な映画を観たと思います💖