映画『若者たち』

2022年05月07日

日本の近現代史を学ぶ会のみなさんと一緒に、映画『若者たち』を観ました。

映画の存在はもちろん知っていましたし、主題歌の『若者たち』は子どものころから何度も口ずさんだ歌でした。
でも映画をちゃんと観たのは初めてでした。
実は映画より先にドラマが1966年2月~9月、フジテレビで放映され、30数回も続いた人気ドラマだったこと。
在日朝鮮人の問題を取り上げた最終回、同じ時期に北朝鮮の漁船が日本に亡命を求めて密航した事件が発生し、放送が打ち切られたこと。
出演していた俳優座の俳優さんたちを中心に自主作成されたのがこの映画で、映画の自主作成の先駆けだったことなど、会の主催者の柴山敏夫さんの解説を聞き初めて知りました。

映画は「何を主題にしているのだろう」と思うほど、たくさんの社会問題を提起していました。
家事労働が女性だけに集中し、女性が自分の生き方を追求しづらい社会構造。
大学で何をどのように学んだかではなく、ただ「卒業した」というだけで得られる特権。
被爆者に対する偏見・差別。家父長制。主人公一家は両親が既に他界していましたが、長男の「俺の言うとおりに生きればいいんだ」というような兄弟妹への押し付け。
正社員でなければ、脚を失うような大事故に遭いながらもわずかばかりの「見舞金」で平気で切り捨てられてしまう社会。
ほんのちょっとだけでしたが、看護師の過重労働にも触れられていました。

映画がつくられたのは1967年で、今から55年前のことです。
その当時と今と、何がどれだけ変わったのか。
大学進学率は当時とはずいぶん変わったとは思いますが、今では大学を卒業しても非正規雇用で、十分な補償を受けられずに働いている人がたくさんいるという現実。
さすがに被爆者への偏見や差別はなくなったと思いますが、障がい者や外国人・性的マイノリティなどのマイノリティに対する差別・偏見はどうなのか。
女性も働かざるを得ない社会の中で、さすがに55年前ほどの生きづらさはないかもしれないけど、それでも未だジェンダー平等の実現は程遠く。

それでも、希望へと向かって歩き続けて行こう!
そんな応援歌なのかなぁと思いながら、観ました。