栃木県高根沢町「ひよこの家」を視察~文教福祉常任委員会~

2022年10月28日

一昨日、文教福祉常任委員会で栃木県高根沢町フリースペース「ひよこの家」に視察に行ってきました。
私は3年前に市内で不登校や発達障がいの活動に取り組むみなさんと一緒に視察に行ったことがあり、議会でも不登校の質問をする際の一つの指標のようにしてきました。
とても大切な子どもたちの居場所だと思い常任委員会の視察先として提案しましたが、願いかなってみんなで視察させていただくことができ、まずはそれがとても嬉しいことでした。

ひよこの家は高根沢町教育委員会が管轄する不登校支援の場で、吉川市で言えば教育支援センター「宇宙(そら)」、以前の名称で言えば「適応指導教室」と同じような位置づけの「場」です。
ひよこの家の素晴らしい点は「不登校の子どもたちが表面的に学校に復帰することを目指すのではない」「学習の場であるよりも、まずは子どもたちが安心して心を休ませ、自分らしい自分を発見し、社会的自立をしていくための居場所」と位置づけている点です。
そのために古民家を借りて、囲炉裏や薪ストーブ、天井から吊り下げられたブランコ、機織り機、漫画も含めてたくさんの本が置かれ、子どもたちが自由にゆったりと過ごせるような環境が用意されています。
卓球や音楽を楽しむスペースもあり、学習をしたい子にはしっかりと学習できる環境も用意されています。
学習室も学ぶ環境ではあるものの、決して学校と同じ机と椅子が並んでいるわけではなく、自由に自分のペースで学べる雰囲気があります。
そして本当にすごいと思うのは、ひよこの家ができて今年でなんと20年ということで、20年前からこうした不登校支援を行政が実践しているというところが本当に素晴らしいと思うのです。

ひよこの家ができた経緯もまた、素晴らしいのです。
40代で町長になった高橋かつのりさん(今は自民党の参議院議員)が、当時は町のトレーニングセンターの一室に適応指導教室があり、2~3人しか利用していない状況を見て「なんとかしたい」と思ったのが始まりでした。
高橋さんは「不登校新聞」を購読するような方だったそうで、とっても意識高い系の町長だったのだろうと想像します。
「子どもたちが悪いのではなく、仕組み自体に問題がある」「学校に行けない子どもたちの権利を守るのは町の義務」「学校復帰という選択肢しかないのはおかしい」と考えたそうです。
そして「どこで学ぶかが大事なのではない、何を学ぶかが大切なんだ」と、本人に学ぶ意思があれば学校でなくても良いと、それが高根沢町の不登校支援の基本的理念となりました。
民間のフリースペースではなく行政が取り組む不登校支援、ひよこの家を心から素晴らしいと感じています。
そして思うのは、本当に良いことと言うのは保守も革新もないんだろうなぁということです。
不登校新聞、私は購読してはいませんが、こういう問題に関心を持つ人が理想として考えることは自民党だろうが共産党だろうが市民だろうが同じなんだろうなぁと思うのです。

あと、図書が充実しているというのは今回感じたことでした。
写真に撮ったのはほんの一部ですが。

吉川市も昨年、それまでの「適応指導教室」から「教育支援センター」と名称を変更し、学校復帰を第一の目的とするのではないと明確に打ち出しました。
職員のみなさんのご尽力もあり、この数年で「宇宙(そら)」の環境も事業内容もとても豊かになってきたと感じています。
それでも残念ながら学校と同じように机と椅子が並んでいて、学校のような環境、通級の際には基本制服か学校指定のジャージです。
学校に行けなくなった事実と学校に行けない自分自身とに苦しむ子どもが安心して心を癒す場としての位置づけは、まだまだ弱いと感じています。
それから蔵書も少ないと感じています。
これは何度か一般質問でも取り上げさせていただき、その結果市立図書館から毎月30冊の団体貸し出しがされるようになりました。
また職員さんからのご提供もありました。
感動したのはロータリークラブさんが図書を寄贈してくださったことです。
加藤議長と教育部からそれぞれお聞きしたお話によると、ロータリークラブさんが寄贈品について加藤議長に相談したところ、加藤議長が私の一般質問を思い出してくださり、「宇宙(そら)」への図書の寄贈を提案してくださり、ロータリークラブさんもそれを快諾してくださって寄贈に至ったとか。
みんなの力で蔵書の充実に一歩近づいたことは嬉しい限りですが、それでもまだまだ少ないと思うのです。
傷ついていたり、心戸惑う人々には絶対に本が大事だと思うのです。

ひよこの家を再度視察させていただき、改めて吉川市の不登校支援の更なる充実を目指して仕事をしていきたいと思います。
高根沢町のみなさん、ありがとうございました