自殺対策の相談員が配置されます

2020年06月20日

6月議会に上程された補正予算で、「こころとくらしの相談員」が2名配置されることになりました。
個人的には、これが補正予算の最も注目すべき点だと感じています。

以前受けた研修でお話していただいた、ご遺族の方のお話を今も忘れることができません。

その方のご主人は若い時からずっと同じ会社で仕事をしていましたが、会社の社長が代替わりをしたのをきっかけに肩を叩かれ、リストラされたそうでした。
転職先がなかなか見つからず、ようやく見つけて就職した会社はこれまでとは全く畑の違う会社で馴染めず、仕事も上手くこなせず、その方はうつ病を発症してしまいました。
まだ未成年のお子さんがいらっしゃるため、働かないわけにはいかず、ご自身で始めた仕事はインターネットでオーダーを受ける印刷会社でした。
そして、そういう会社は非常に競争が激しく、しかも低利。
オーダーの内容も非常に厳しく、たった一日で膨大な量の印刷を仕上げなければならなかったり、夜も寝る間もないような状況で、そんなに働いても会社経営は軌道には乗らず、家族も知らない間に借金を積み重ねて一層でした。
そうした状況の中で、ある日突然、ご主人は自殺を遂げてしまいました。
自殺を図る方は同様に、仕事や負債や健康問題等複合的な問題を抱えているケースが多いというお話でした。
なので、自殺対策の支援は役所の縦割りの窓口では対応しきれない。
課を跨いで、横断的にそして複合的に支援する相談員の存在がとても重要と学びました。

今回のコロナ禍では、同じように追い詰められる人が非常にたくさんいらっしゃると思います。
休業や失業、明日の暮らしをどうするのか、ローンの支払いをどうするのか、子どもの学費は・・・。
国も野党や国民の声に押されて様々な支援策を講じていますが、全然十分ではない・・・。
こういう状況の中で、自殺対策を担う相談員が初めて配置されました。

その費用は今回のコロナ対策の臨時交付金と、自殺対策の補助金により賄われるということです。
それほどに状況は緊迫していると、国も市も捉えているということだと思います。

こうした認識の下で、今回組まれた補正予算です。
主な内容として、
  • ひとり親家庭等家計応援臨時交付金  1世帯に2万円支給
  • ひとり親家計等家計応援商品券発行交付金 
                  子ども一人当たり5,000円分

  • 公共交通機関整備改善推進事業
      市内バス会社に最大300万円 タクシー会社に最大150万円

  • 商業活性化推進事業
      デリバリー・テイクアウト・ネット販売などの新たな
      取り組みに対し、上限10万円を支給

  • プレミアム付き商品券発行事業
      5,000円支払うと6,500円分になる市内で使える商品券
      24,000冊発行

吉川市の臨時交付金の限度額は1億8,148万6,000円です。
今回計上された予算は、そのうちの1億4,846万3,000円です。
まだ使うことができるので、もっともっと困窮している市民生活や事業を支えるために使うことができるはずです。
また、5月の臨時議会で市長・副市長・教育長の給与の減額が行われました。
何のために減額するのかとの飯島正義議員の質問に対し、市は「市民と痛みを分かち合い、信頼関係の構築 を図るため」と答弁しました。
また減額したお金を何に使うのかとの質問に対しては、「コロナ対策に使う」との答弁でした。
しかし今回の補正予算では、こうしたお金を利用しての市独自の施策は提案されていません。
遠藤議員がこの点を質問すると、まだ9月議会に向けての提案もあるというような答弁でした。

市民生活が本当に困窮している、そして緊迫していると理解しているのであれば、ぜひとも早急に吉川市独自の施策の提案をしていただきたいと思っています。