連携の強化を~吉川市の認知症高齢者見守り対策

2021年03月25日

3月議会の一般質問で取り上げた、市の認知症高齢者の見守り対策の続きです。
認知症高齢者の行方不明時の対応で、「連携」というキーワードでいくつか問題だと思うことがあります。

①警察との連携の問題

行方不明になった認知症高齢者の方のご家族は、しばらく探した後、警察に届けます。
ご自宅に訪ね行方不明時の状況などの聞き取りをした後、警察は一旦警察署に戻り、それからまずは市役所に電話連絡。そしてそのあと、FAXを送ります。
そのFAXには、防災無線で名前や年齢も明らかにして良いのか、どこまでの情報を流すのかといったことがチェックされているそうです。
ところがそのFAXが来ないことがあったり、来ても必要なところにチェックが入ってなくて、そのためのやり取りに時間がかかることが多々あるそうです。

ということはつまり厳しい言い方をすれば、警察と市とでは「認知症高齢者の方を一刻も早く探さなくてはいけない」「その方のいのちに係る問題だ」という認識が共有できていないということではないでしょうか。
警察がスピーディに、そして必要な情報を正しく記載してFAXを送ることが、その後の市の動きにつながる大切なものだと認識されていないということではないでしょうか。

市と警察がまずはしっかりと話し合いをして、FAXの大切さを共有するべきだと思います。
また、吉川警察署が管轄する三郷市や松伏町でも同様の問題が起きているのではないでしょうか。
私が一般質問で求めたことの一つは、三郷市・松伏町も含め、警察との話し合いをし、共通認識を持ってほしいということでした。

②広域連携の問題

昨日も認知症の友人が行方不明になったことをお伝えしましたが、その友人はこれまでも何度か行方不明になっていて、発見されたのは市内だけでなく、お隣の越谷市・三郷市・松伏町などで発見されてきました。
もうずいぶん前のことになってしまいましたが、私が市内でケアマネとして働いていた時に担当した、重い認知症の一人暮らしの方も、よく松伏町の方まで歩いて行っていました。
認知症高齢者の方が移動する際、陸続きである以上、決して市内だけを歩き回っているわけではないということは十分に想像できることです。
他の市町との境界付近に住んでいる方なら、生活の基盤はむしろ他市町にあり、自然と足がそちらに向いてしまう方も当然たくさんいらっしゃるものと思います。
そうした事実を考えたとき、捜索の範囲は市内だけで良いはずがありません。
近隣の5市1町との連携が必要だと思います。

大阪府守口市・門真市・四條畷市は『くすのき広域連合高齢者徘徊SOSネットワーク事業』という事業を実施しています。
行方不明を発見したら警察とくすのき広域ネットワークに連絡をして、そのネットワークが発見に協力するという仕組みです。
吉川市も近隣の5市1町と協力して、こうしたネットワークをつくるべきだと思います。

一般質問での私のこうした意見・質問に対して、市の答弁は「まずは市内の協力事業所の方にご協力をお願いして、さらに対象範囲を広げるべきというときに5市1町に向けて徘徊SOSネットワークを通じて情報提供させていただいている」というものでした。
それでは、どういうタイミングで5市1町への情報提供と判断するのかを問いました。
市の答弁は「原則、翌日。当日見つからなかった場合に、翌日に要請する」とのことでした。

オドロキの答弁だと思います。
昨日もお伝えしましたが、行方不明から9時間経過すると発見率は徐々に下がり、死亡につながるケースがあると報告されています。
認知症高齢者の方が行方不明になりやすいのは夕方です。
翌日になって、見つかっていないとわかってから捜索範囲を拡大するのでしょうか。
その方は、その夜をどんなふうに過ごすのでしょう。
その日、大雨が降っていたら、雪が降っていたら、その方の一夜はどんな時間になるのでしょうか。

認知症高齢者の方のいのちの問題だと認識して、対応を考えていただきたいと思います。

③関連部署・見守りネットワークとの連携の問題

これは昨日もお伝えしました。
警察からの連絡を受けるのは、市の危機管理課です。
そしてその内容に応じて、高齢者なら長寿支援課、学齢期の児童生徒の問題なら学校教育課、子どもの問題なら子育て支援課など、連絡を受けた危機管理課職員から担当課へと連絡をします。
そして更にそれぞれの担当課から、市の見守りネットワークに連絡をし、協力をお願いするという形になっています。
今回明らかになったことは、この連携が十分に整備されてなく、曖昧だということだと思います。
ここでも問われることは、高齢者のいのちに係る重大な問題だという認識だと思います。
各担当課間の話し合いを十分に行い、土日祝祭日や夜間の認知症高齢者の行方不明にどのように対応するのか、見守りネットワークにどのように連絡を取り協力をお願いするのか、システムを整備していただきたいと思います。
更に昨日もお伝えしましたが、行方不明が発覚するたびに警察に届け、一から説明して対応を求めるのか、他自治体でも実施しているように事前に地域包括支援センターなどに登録をして、行方不明になった時には警察にももちろん届けるけれど、地域包括支援センターに連絡をするという仕組みもとても有効だと感じています。
地域包括支援センターに連絡すれば、そこから見守りネットワークに情報が行き、その方の徘徊パターンなども考慮してすぐに5市1町のネットワークに連絡をするのか、市内を探せば良いのかの判断も含めて対応してもらうような仕組みを作ることに意義があると思います。
こうしたことも含めて、市の方でしっかりと検討していただきたいと思っています。