『「人を好きになってはいけない」と言われて』

2022年09月08日

9月議会真っ最中。
昨日は本会議で議案質疑、今日も本会議で決算質疑でした。
20人いる議員の中で、議案質疑・決算質疑をした議員は共産党議員団の私と遠藤さん、市民の会・無所属の4名の議員、それから公明党の五十嵐惠智子議員の7名でした。
今日の決算質疑をした議員は6名。
それでも夕方4時ころまでかかり、非常に濃厚な本会議でした。
その報告を書きたいところですが今日はとにかく疲れ果ててしまい、帰宅後にストレス発散で読み終えた本、『「人を好きになってはいけない」と言われて』(大沼安正著 講談社)をご紹介します。
確かしんぶん赤旗の記事でこの本の存在を知り、読んでみたいと思ったのですがどの本屋さんをあたっても「絶版」「在庫切れ」。Amazonでも中古本すら見つけられず、ほぼ諦めかけていたところに見つけて購入した本です。

統一教会の合同結婚式で結婚したカップルの下に生まれた、いわゆる「神の子」と呼ばれる信者二世。
神の子は神の子同士で結婚することが求められ、通常の恋愛は許されません。
なので神の子は「人を好きになってはいけない」と言って育てられます。
家にはいつもお金がなく、お友だちが当たり前のように持っているゲームや漫画本などを買ってもらうこともできず、お小遣いももらえず、友人関係にいつも疎外感を感じ・・・。
そういう中で、矛盾を抱えながら生きていくのだと思います。
この本の著者も何時しか学校にも居場所を失い、不登校、そして小学6年生にして家出を繰り返し・・・。
12歳にして山形県に住む親元を遠く離れて、親が借りてくれた群馬県の一軒家でで一人暮らし。
食事は時々お父さんがまとめて持ってきてくれるインスタント食品が中心で、いつもお腹を空かせながらの暮らし。
16歳にして新宿2丁目で身体を売る生活、合法ドラッグやヤクザとの接触やホスト。なんでもありの凄まじい生活。
そしてそこからの脱却を試みながら、息苦しいほどに悶えつつ生きる一人の少年の手記です。
こういう一見自暴自棄な本が描けるのは、壮絶な体験があってこそのことだと思います。
いや、多分先日ご紹介した『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』の著者と同じく、この本を描くことによって自分自身を客観視し、認めることによって乗り越えようとしているのかもしれません。
18歳の時、一年かけて描いたのがこの本だとのことです。
あまりにも壮絶で、途中で気持ちが悪くなり、何度も「もうこれ以上読みたくない」と思いながら読みました。
が、それほどに著者の体験、とりわけ統一教会の信者二世として、「神の子」として生まれ育った現実から脱却し、自分なりの人生を歩むのは難しいことなのだと思いました。
著者が前を向いて大検に合格し、専門学校への進学を目指して生きているエピローグにホッとしました。

この本は2002年に出版された本です。
著者は今40歳を超えているはずです。
どんな風に生きているのかわかりませんが、どうか幸せでありますようにと願わずにはいられません。