『わが青春尽きるとも 伊藤千代子の生涯』上映会

2022年10月02日

三郷のみなさんと一緒に実行委員会を組織し、映画『わが青春尽きるとも 伊藤千代子の生涯』上映会を開催しました。
コロナ禍でどれくらいの方が参加してくださるのか、とても不安に思っていましたが、午前の部は221人、夕方の部でも105名が参加してくださいました。
元々午前と夕方を合わせて300人来ていただければ大成功と位置付けていたので、期待した以上のみなさんにご参加いただくことができ、本当にホッとしました。

1905(明治38)年生まれの伊藤千代子、亡くなったのは1929(昭和4)年です。
映画は以前にも少しだけご紹介したことがありますが、働いても働いてもご飯も満足に食べられない労働者がいる一方で、私腹を肥やしていく大金持ちがいる社会、・・・こんな社会は変えなければならないと思い、学ぶ伊藤千代子は、いつしか日本共産党員になりました。
そして治安維持法違反で検挙され、ひどい拷問を受けても「自分らしく生きたい」と自身の考えを貫き通しました。
しかし夫は拷問を受ける中で、「天皇制の国体を護持した中で、現状に見合った社会主義・共産主義運動へ」と変節していきました。
そんな状況の中で精神疾患を患い、錯乱状態になっても適切な治療を受けさせてもらうこともできず、やがて衰弱し、24歳という若さで死んでいきました。

私は7月にもこの映画を一度観ていて、今日は午前と夜と2回とも観たので、計3回も観てしまいました💦
3回観ることで自分自身の映画への印象が変わったことが、自分のことながら驚きでしたΣ( ̄□ ̄|||)
最初に見たときは、ひどい拷問を受けながら自分を曲げずに貫き通した伊藤千代子はすごいというか、私なら絶対に暴力に簡単に屈してしまうだろうところ、凄いけど、ちょっと嫌だと思う部分がありました。
それはもし伊藤千代子が私の娘だったとしたら、少しくらい自分を曲げてもいいから生きていてほしかったと思うのでした。
そんな死に方を自分の娘がしたとしたら、とてもいたたまれない・・・💦、そんな気持ちでした。

でも今日観て、拷問に負けずに抗い続けた伊藤千代子をこの映画は賛美しているのではない、第二第三の伊藤千代子をもう二度と生み出してはいけないというメッセージを込めた映画だということがわかったのです。
伊藤千代子が純粋に思ったのは、「働いても満足にご飯を食べることのできない社会はおかしい」「働いたら、ちゃんとご飯が食べられる社会であるべきだ」ということで、伊藤千代子はただ自分が大学で学ぶだけでなく、農民や製糸工場で働く労働者たちの労働組合の運動を支援していきました。
そういう姿勢が多くの仲間から共感され、信頼された人でした。
それが治安維持法という自由にものを言えない社会の中で国賊扱いされ、ひどい人権無視の拷問を受け、死に向かうような状況の中に陥れられていったのです。
治安維持法という法律は、国にとって都合の悪い発言をすることを認めず、そういう発言をする人々をひどい暴力で押さえつける法律でした。
民主主義とは相いれない、思想信条の自由も、集会結社の自由も、表現の自由も一切認めない法律でした。
そうして反対意見を排除しながら、戦争への道を突き進んでいったのが戦前の日本だったのだと思います。
もしまた治安維持法のような法律ができてしまったら、言いたいことも言えない社会がやってくるかもしれません。
実際に安倍内閣では『共謀法』が成立しています。
物の言えない社会が来る可能性はゼロでは全くありません。
二度とそういう社会にしてはいけない、市民が色んな立場から言いたいことをきちんと発言できる社会をつくらなくてはと、この映画はそういうことを訴えているのではないかと学びました。

とても良い上映会です。
三郷文化会館でお仕事をするみなさん、ご参加いただいたみなさん、ご協力に感謝します💕