介護職員の給与は上がったのか?

2022年06月22日

6月議会の一般質問ではいろいろな質問をしましたが、介護職員の給与の問題もその一つでした。

昨年11月、政府は「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定し、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000 円)引き上げるための措置を今年2月から実施するとしました。
介護職員に関しては今年2月から9月分までの給与に関しては、県から各事業所に直接10分の10の補助金が支払われています。
実際に3%(9,000円)賃金は上がっているのかどうか、質問をしました。
市の答弁は、介護職員の処遇改善のための補助金の計画書・実績報告書の提出先が県であり、把握していないとのことでした。しかし収入を3%程度引き上げる措置であり、介護職員の処遇改善が図られているものと認識していると答えました。

介護職員の友人・知人がとても多いので聞いてみたところ、確かに給与は若干上がっているそうです。
が、常勤で働く人でもとても3%(9,000円)には追い付いていないというのが現状のようです。
何故かと言うと、制度が不備だからだと言うしかありません。
常勤換算で一人当たり9,000円上げるとして計算していること自体は事実だと思います。
ただ県の方は介護施設の最低人員配置基準をもとに計算してお金を出していて、実際には基準より多く職員を配置しなければ事業が成り立たない現実があり、多くの施設で基準以上の職員配置をしているので、県が補助金を出しても一人当たりの金額が薄まってしまうのです。
また支給対象者は介護業務がメインの介護職員の人数分だけで、同じ介護事業所の中で働くケアマネや生活相談員、リハ職などほかの職種で働く職員は対象外なのです。
にもかかわらず支給された補助金を事業所ごとにどのように配分するか、対象外の職員にも配分するか否かなどは事業者が決めて良いことになっています。
事業所は当然、全職員にそのお金を配分しようと考えるのではないでしょうか。
そしてその結果、1人あたりの金額が少なくなってしまうのです。

何が問題かと言えば、介護職の処遇の悪さゆえに介護職に就く若い人がいない、介護職員が高齢化している、特に訪問介護で非常に高齢化しているということです。
3%(9,000円)上げると言いながら、実際にはその金額は上がらないということがわかりきった状態での補助が行われています。
私は介護職員の給与を本気で上げて、若い人たちも働ける環境を作っていかなくてはいけないと本気で思っています。
そうしなければ、訪問介護という事業の存続自体が危ぶまれる状況だと思っています。
今後さらに一層高齢化が進む中で、制度があっても介護職で働く人が増えていかなければ、「制度あってサービスなし」という状態が更に進むのではないかと思っています。
市の考えを問いました。

市の答弁は、「介護職員に対して一人当たり9,000円のアップをベースにした制度だが、それぞれの事業所ごとに給与体系・勤務体系は千差万別であり、実態に合わせて柔軟に活用することは介護職員そのものの給与の引き上げに繋がらない側面もあるが、事業所自体の円滑な事業の実施にはプラスになる分もある」というようなものでした。

そういう考え方も理解できないわけではありませんが、3%(9,000円)上げると言ったのに全くそうではないということはやはり問題だと思います。
介護職員の処遇改善は介護職員を増やせるのか、介護保険制度の存続がかかる大変な問題だと思うのです。
市は介護保険の保険者です。
介護職員の処遇改善できていない事実をしっかりと認識し、県や国に対しても発言していただきたいと思っています。

2月に亡くなった私の母も、本来の望みは最期まで方言の通じる生まれ育った岐阜で暮らすことでした。
でも高齢化が進み、生産人口は少なく、しかも介護職に就く若者は少ないという現実の中で、岐阜では高齢者施設そのものが不足していて、要介護4~5と認定されても数年待たなくては入所などできないという状況でした。
制度そのものは特養入所は要介護3以上、しかし認知症など特別な要件があり保険者が認めるなら要介護1以上で入所は可能となっています。
でも実際に岐阜では、要介護1以上でも特養の入所申請自体ができませんでした。
介護職で働く人がいないとはそういうことだと、強く思います。
首都圏ではまだそこまで高齢化が進んでいないとか、働き手があるので、そこまで身につまされてはいませんが、決して他人事ではありません。
遠くない将来、同じような事態に直面するのではないでしょうか。
そうなってから慌てても遅いと思っています。
今、介護職員の処遇を改善し、介護職で働く人を増やし、これから徐々に進む更なる高齢化に備えていくべきだと私は思っています。

担当部長は、2019年2月~2020年2月まで平均で常勤の介護職員の月給1万8000円ほど上がっているとのデータがあり、現在もこれからも介護職員の処遇改善の対応は引き続き図られていると認識し、政府の行方を注視していきたいと答弁しました。
その答弁自体は事実だと思いますが、それでも一般の職業と比べると8万円程度の隔たりがあると指摘されています。
その差を埋めていかなければ介護職は増えていかないと思いますし、介護事業が続いていかないと思っています。
また10月以降は「ベースアップ等支援加算」がスタートし、処遇改善に充てられていくとのことですが、それはそれで利用者の負担増につながり、ますます介護が必要な方がサービスを使いにくい状況が助長されます。

国が処遇改善するためのお金を出すべきであり、市から国・県に求めていくべきだと思っています。
介護保険制度の未来に直結する話です。