市民のあらゆる文化芸術活動支援を(⋈◍>◡<◍)。✧♡

2020年03月08日

3月議会には、「吉川市文化芸術振興基金条例」が提案されました。
5日に開かれた文教福祉常任委員会で、この条例案を審議しました。私は大変悩みましたが、反対しました。
6人の常任委員の内、私と市民の会・無所属の斎藤詔次委員、自民党の松崎誠委員が反対し、公明党の五十嵐惠千子委員と林みき委員が賛成しましたが、反対多数で否決されました。
16日の本会議で、この委員会報告を受けて再度審査することになります。その時可決するのか否決されるのかは、今の段階では予想できません。

市の演劇事業は、これまでも私を含め多くの議員が発言してきました。市民の間でも、本当に多くの議論のあるところだと感じています。
市の税金を遣って、市が主宰する演劇という特定の事業に数百万単位のお金が投じられてきた、このことに納得のいかない議員・市民がたくさんいるという事実は重いものだと思います。
市の募集に応じて参加され、がんばって活動してくださっている皆さんを応援したい気持ちは勿論あります。
が同時に、他の文化芸術活動に取り組んでいる方々にとって納得のいく事業になっているのかどうか、私はこの視点を大切に考えなくてはいけないのではないかと思っています。

問われているのは、文化芸術を推進するうえでの市の姿勢です。

昨年3月議会では、演劇事業に対する付帯意見が採択されました。
この付帯意見をもとに昨年の6月議会で私は、市民のあらゆる文化活動を支援する「文化財団」の立上げを提案しました。

今回の条例案は、付帯意見と私の提案をもとに検討したものだと、代表質問の中でも繰り返し説明されました。
確かに、この二つを踏まえて一生懸命考えてくださったことはよくわかります。
その意味で、これまでよりずっと大きく前進していると感じます。だからこそ、反対するのか、不十分とは感じながらも賛成するのかを本当に悩みました。

昨年の付帯意見は、

  1. 文化芸術活動を旗手事業として推進することについては、広範な市民や文化諸団体の合意の上で進めること。
  2. 市民劇団の結成や活動については、自主自立を目指し支援すること。運営については寄付や参加費等で賄えるよう努めること。

  3. 総合的な政策を行うにあたっては、老若男女を問わず幅広く文化芸術活動に触れられるよう展開すること。

を求めました。
市の説明によると、付帯意見を受けて市が寄付を募り、いただくことができたので透明性を持った運用ができるようにと条例提案に至ったとのことでした。
付帯意見では「寄付や参加費等で賄えるよう努める」ことを求めていますが、「市の事業であり、市の事業として来年度も行っていく」との答弁でした。
事実、今年度の補正予算に寄付金が1221万円計上されています。その内訳は、ふるさと納税700万円、企業からの寄付や寄付金箱を置くなどして集まった寄付が521万円とのことでした。
そのうちの「文化芸術の進行のため」にいただいたご寄付、721万円を文化芸術振興基金にあて、文化芸術の進行に遣っていくということです。
そして、その基金を使って行う事業をこれから広げていく考えではあるものの、来年度は演劇だけとの説明もありました。
企業からの寄付は、職員も市長と一緒に企業等を回ったりする中で集めたとの説明もありました。

反対することに決めた理由のひとつは、来年度は演劇だけに使う計画だという点でした。
まずは演劇に使いながらこれから広げていくというのは、非常にあいまいな計画だと思います。
「やっぱり演劇だけ」と納得のいかない思いを抱く市民は、少なくないと感じます。
吉川市には昨年2月に作られた、「文化芸術を総合政策として推進するための基本的な方針」 というものがあります。
が、残念ながら文化芸術活動に取り組む多くの市民を交えてつくったものではなく、職員だけで作った方針です。
そもそも吉川市には、文化芸術振興条例がありません。
まずは多くの市民を交えて文化芸術振興条例をつくり、市の文化芸術をどのように発展させていくのか、大きな概念をつくり、その上で基本計画をつくるべきだと思います。
そして更にその上で、お金をどうしていくのか、基金条例を作るべきだと思います。
今は演劇をやっていきたいという市長の熱い思いがあり、それを市の計画として位置付けるために基本方針がつくられ、お金の取り扱いをどうするかという所から基金条例が提案され、更にこれから文化芸術基本条例を作るという、全く逆の方向から進められてきているという印象です。

文化芸術振興に反対する人は、多分一人もいないと思います。
しかし、文化芸術振興にあたって市が取り組むべきことは、あらゆる文化芸術が花開き、活き活きと取り組まれていくような環境を整備することだと思います。
そうした土壌をしっかりと整備することが、今求められているのではないでしょうか。
今は一旦立ち止まって、文化芸術振興条例の策定➡基本計画の練り直し➡基金の立上げ➡事業の実施という、本来のあり方に戻るべきだと感じます。

他の委員からは、集め方の問題も指摘されていました。
市長が自ら企業を訪問して募金を集めるという集め方は、可能性としてどうしても見返りを求めることにもなりかねないという発言もありました。
確かに企業に大きな額の寄付を求めるのではなく、より多くの市民から幅広く集めるという方法が良いとも感じます。

こんなことを考えて反対した次第です。