「再生可能エネルギー主力電源化の実現に向け、国への意見書提出を求める請願」

2021年06月09日

6月2日から、吉川市の6月の定例議会が始まっています。
今議会には生活クラブ生協吉川松伏支部のみなさんから「「再生可能エネルギー主力電源化の実現に向け、国への意見書提出を求める請願」が提出されました。請願の紹介議員は市民の会・無所属の岩田京子議員と私です。
岩田議員は自他ともに認める環境活動家で、生活クラブ生協でもバリバリと活動している方です。私は生活クラブ生協の組合員です。

今回の請願の趣旨は、

  1. 国は第六次エネルギー基本計画において、総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合の目標値(2030年、2050年)を「1.5℃目標」が達成できるように大幅に引き上げること。
  2. 句には、脱炭素社会に向けて、再生可能エネルギー主力電源化の実現に向けた推進と政策転換を早急に進めること。

この2点について、国に対して意見書を提出してくださいというものです。
今日は建設生活常任委員会で審査されました。
全会派一致で採択されました。明後日の本会議で採択されれば(されると思いますが)、改めて「再生可能エネルギー主力電源化の実現求める意見書」が提案され、採決されれば(これも恐らく採決されるものと思われます)吉川市議会として、この意見書が国へと送られることになります。
市民と議会とが力を合わせてこうした声を国に送ることができるとしたら、素晴らしいことだなぁと思います。

 温暖化がもたらす異常気象

日本では、近年台風が大型化しています。一昨年の台風19号は各地に記録的な豪雨をもたらし、河川の氾濫・土砂崩れ・浸水などが発生し、77名が亡くなり、また多くの家屋が失われました。50年に一度、100年に一度と言われるような豪雨水害が毎年のように起きています。
一昨年、ヨーロッパは2度にわたり記録的な熱波に襲われ、フランスでは気温が45.9℃にまで上昇し、約1,500人が熱中症や熱射病で亡くなりました。アメリカ西海岸から中西部にかけて深刻な干ばつが続き、カリフォルニアなどで森林火災が繰り返され、昨年8月の火災では30人もの方が亡くなったと報道されました。オーストラリアでも干ばつが深刻化し、一昨年の森林火災では10億匹以上の動物が犠牲となり、日本の3分の1の面積が焼失したと報道されました。
こうした異常気象・異常事態の原因が地球温暖化にあり、その原因は温室効果ガス、中でもCO2の影響が最も大きいことは周知の事実です。

温暖化は地球の未来・人類の未来にかかわる大問題

温暖化は私たちの健康・くらし・経済など、様々な問題に深刻な影響を与えます。

世界の平均気温は1880年から2012年の間に0.85℃上昇したと言われています。このまま気温の上昇が続き、世界の平均気温が1.5~2.5℃上昇すると地球上の生物の20~30%が絶滅の危機に晒されると予測されています。
地球温暖化・気候変動・気候危機は地球の未来、人類の未来に関わる大問題であり、私たちは今、この課題と真剣に向き合っていかなければなりません。

世界に逆行する日本のエネルギー政策

2018年の日本のCO2排出量は11億3,800万トンで、世界ランキングでは中国・アメリカ・EU 28か国・インド・ロシアに次いで第6位、世界のCO2排出の2.7%を占めています。

またCO2排出の40.1%を発電が占めています。日本の発電は8割を化石燃料が占め、しかもCO2排出量が最も多い石炭火力による発電が3割以上に上ります。日本のエネルギー政策は、世界に逆行しています。

石炭火力発電全廃に反対する日本

5月に行われたG7気候・環境大臣会合では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」とした2016年のパリ協定の長期目標を更に前進させ、目指すところは1.5℃の抑制であることを明確にしました。会合では、議長国のイギリスが共同声明にG7各国での石炭火力発電の全廃を盛り込むことを提案しましたが、残念なことに日本が反対し、盛り込まれませんでした。

しかし、1.5℃目標を達成するには、石炭火力からの脱却が絶対に必要です。

本気で脱団素社会の実現を

経産省が昨年10月に公表した、第6次エネルギー基本計画の見直しに向けた資料では、30年の再生エネルギー電源の比率の目標は22~24%です。このような低い目標値では、石炭火力からの脱却はできません。
目標値を大幅に引き上げるべきです。
石炭火力からの脱却に向けた対策として、環境に深刻な影響を与えるメガソーラーではなく、屋根置きや営農型太陽光発電などの環境に優しくクリーンな再生可能エネルギーを主力電源化し、脱炭素社会を実現することを強く望みます。

脱炭素を原発再稼働の口実にしてはいけない

以上の趣旨から、私たちは請願に賛成しました。

ただ一つ残念なことは、この請願には脱炭素を目的とした原発再稼働反対というような文言は入っていません。第6次エネルギー基本計画の見直しに向けた資料では、現在は全電源に占める割合が6%の原発を2割程度にするとしていることは、非常に問題です。「脱炭素」が原発の再稼働の口実になることは、絶対に認めるわけにはいきません。
原発依存の脱炭素社会の実現は、絶対に反対です。