「加齢性難聴者の補聴器購入に市の助成を求める請願」 全日本年金者組合吉川支部が提出

2022年02月23日

昨日から、吉川市の3月議会が始まりました。
今議会には、年金者組合吉川支部のみなさんから「加齢性難聴者の補聴器購入に市の助成を求める請願」が提出 されました。この請願には1,300人を超えるみなさんの署名も添付されました。
この請願の紹介議員になったのは、私の大先輩の遠藤義法議員と市民の会・無所属の岩田京子議員です。
残念なことに私はこの請願を審議する文教福祉常任委員会に所属しているので、紹介議員にはなれません💦
文教福祉常任委員会でより良い審議ができるように、しっかりと発言したいと思っています。
そして私も、2019年の6月議会にこの問題で国の補助制度を設けるようにとの意見書を提案し、未来会議よしかわの4名(当時)の議員が反対しましたが、賛成多数で可決しました。
同じ年の9月議会でも一般質問でこの問題を取り上げ、助成制度をつくるべきだと要望しました。
加齢性難聴者への補聴器購入費用助成制度は、私も本気で必要だと思っているところです。
10日に文教福祉常任委員会で請願審査されますが、採択されるように全力で頑張りたいと思っています。

適切な補聴器使用は認知症予防・介護予防

高齢化が進む中で、今重視されているのは「フレイル予防」です。「フレイル」とは「健康」と「要介護」の中間にある、「虚弱」な状態を言います。健康を維持するためには「フレイル」を予防することがとても大切です。
「フレイル」を予防するための3つの要素は、「栄養」「身体活動」「社会参加」と言われています。
中でも「社会参加」は「フレイル」の入り口と言われ、高齢者の社会参加が「フレイル」や「要介護状態」の予防に大変重要な要素です。
高齢者の難聴は単に「聞こえない」というだけでなく、他者とのコミュニケーションが困難になり、社会から孤立を招きます。その結果として、認知機能が衰えていくと考えられています。
適切な補聴器を使用することは、高齢者の「社会参加」を保障し、「フレイル予防」「介護予防」につながる重要なことだと考えます。
厚労省の『認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)』でも「難聴は認知症の危険因子」と明記されています。

補聴器使用で生活の質(QOL)も改善

一般社団法人日本補聴器工業会の「JapanTrak 2018 調査報告」によると、補聴器所有者の89%が補聴器の使用により生活の質(QOL=Quality Of Life)が改善したと答えているそうです。
具体的には、「安心感」「会話のしやすさ」「自分自身の気持ち」などです。「自動車の近づく音、横断歩道を渡る時の信号音がよく聞こえるようになり、街中を安心して歩けるようになった」との質問に「はい」と答えた方は70%に上りました。
同報告では、補聴器の使用の有無がうつ病の発症にも影響するとみられる結果も示されています。

補聴器費用助成の大切さ

日本人は約1,900万人の難聴者がいますが、補聴器を使用している人は18%に過ぎません。
聴力の低下を自覚していない人が47%、自覚していても補聴器をしていない人が35%です。
上記調査報告によると、調査対象者の24%が補聴器を使用しない理由として「購入する経済的余裕がないから」と答えており、「 補聴器の価格は非所有難聴者が購入を決断する際に最も関連性がある」と結論付けています。
購入費用を助成し、自分の合った補聴器を購入・使用できるようにすることは、高齢者一人一人の生活の質(QOL)を保障するうえでも、認知症予防・介護予防という意味でも非常に重要だと思います。

全国に広がる助成実施自治体

全日本年金者組合の発表によると、昨年7月28日現在、 全国の補聴器購入費用助成制度を設けている自治体は50自治体です。

2月19日しんぶん赤旗は、4月にスタートする東京都港区の画期的な助成制度を報じました。
補聴器を長く、有効に使えるようにと、調整システムも「港区モデル」として組み込んでいます。助成の対象は60歳以上、所得制限なし。助成額の上限は13万7,000円。
住民税課税の人はその2分の1の6万8,500円。実施自治体では、最高額となります。


同区高齢者支援課課長の金田耕治郎さんは「難聴の方々へのヒアリングに基づいて、費用負担をできるだけ少なくし、補聴器を買ったあとも長く使い続けられるように制度設計しました」と話しています。
使い続けるための支援では(1)購入前に補聴器相談医(※1)を受診できるようにする(2)認定補聴器技能者(※2)による購入時の調整や購入後のアフターケアを受けられるようにする―などを制度化しました。
対象者の年齢は自治体の多くが65歳以上ですが、60歳以上としました。
難聴になっても仕事を続けられるように、他自治体より早めにしたとのことです。
難聴の早期発見のために、「聞こえのチェックリスト」の活用なども盛り込んでいます。

※1補聴器相談医 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が規定する講習を履修した、耳鼻咽喉科専門医。都道府県ごとの名簿が公表されています。
※2認定補聴器技能者 補聴器についての専門的な知識や技能を習得した人。公益財団法人テクノエイド協会が実施する養成課程の受講を修了し、認定試験に合格することが条件。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

兵庫県では来年度予算案に、助成制度の導入事業を盛り込みました。(1)65歳以上(2)聴覚障害による身体障がい者手帳の交付を受けていない(3)耳鼻科医師の診断を受け、補聴器が必要との意見を受けた(4)事後アンケート・モニタリングに協力する―などの要件を満たした人から抽選で400人程度、上限2万円で補聴器の購入費用を補助するものです。今後もさらに全国に広がるものと思われます。国への制度提案の一助とするため、補聴器装用のニーズや社会参加活動の状況などを把握するためと事業目的を説明しています。

吉川市でも請願が採択され助成制度が実現することを心から願い、議員団も力を合わせて頑張ります。