「外交を最強の手段として、緊張緩和を最も声高に叫ぶべき」
昨日のしんぶん赤旗、6面国際欄に珍しく感動してしまいました。
ニュージーランドのアーダーン首相が7日にシドニーのローウィー研究所で行った講演。
NZの外交政策について、ウクライナを侵略するロシアを厳しく批判しながらも、米国のバイデン大統領が提唱する「民主主義対専制」には賛同しないと、アジア太平洋での中国包囲網とも一線を画す態度を表明したとのこと。
ウクライナ侵略は「違法で正当化できない」とロシアを批判。
同時に「西側対ロシア、または民主主義対専制として特徴づけるべきではない。これが別の地域の戦略的競争でも避けられない道だと想定すべきでもない」と強調。
米国がインド太平洋地域で、中国に対抗する同盟国による包囲網を強化しようとしていることとは一線を画す考えを表明。
あわせて、太平洋諸国に対し「(米国か中国かの)どちらかの側につけ」と迫るやり方にも反対したとのこと。
アーダーン氏は、インド太平洋地域で「外交を最強の手段として、緊張緩和を最も声高に叫ぶべきだ」と主張したそうです。
講演後の質疑応答では「民主主義対専制」の構図に批判的な考えについて質問され、「民主主義は重要な価値だ」としつつも、外交は「想定ではなく事実で語る必要がある」と主張。
シンガポールのリー・シェンロン首相が訪米の際にウクライナ戦争を「民主主義対専制」と描くべきではないと提唱したことにも触れ、ロシアの侵略に対し、「より広い反応を引きだす必要がある。安保理常任理事国である中国に果たす役割はないと考えるべきではない」と語ったとの記事です。
本当に心から共感します。
少し前の話ですが、初めてお会いした方から「市議会議員さんなんですか?」と聞かれました。
「何党ですか?」と聞かれたので「共産党です」とお答えしたところ、「プッ」と笑われて、こんな風に言われました。
「共産党さん、9条もいいけどさぁ。もっと時代に合った憲法9条を考えないとね」って。
すぐに立ち去られてしまったのでそれ以上のお話はできませんでした。
そのあとしばらく、「時代に合った憲法9条を考える」っていったいどういうことだろうと悩みました。
「ロシアのウクライナへの軍事侵攻は許せない。お隣の中国もいつ、何をするかわからない。ぼんやりしていては、ウクライナのようになってしまう」。
「そうならないためには軍事予算を5兆円増やして軍事力を強化して、『敵基地攻撃能力』を保有して、攻め込まれる前に攻めちゃう!」。
「こうしたことを可能にするためにも、憲法を変えなきゃ💦特に憲法9条を変えて、戦争を可能にすること、それから「緊急事態」と称して国会を開くこともなく政府が全権を掌握することを可能とする『緊急事態条項』を書き込まなきゃ💦」。
・・・そういうことですよね。
今、世界が何となくそういう方向に進んでいるようで、とても不安を感じます。
長年中立を保ってきたフィンランドにスウェーデンがNATO(北太平洋条約機構)という名の、そもそもはソ連に対抗するためにつくられた軍事組織に加入する方向が進められています。
そういう中で「軍事対軍事を煽るのではなく、緊張緩和をこそ声高に叫ぶべき」「外交こそ最強の手段」と堂々と発言するアーダーン、ニュージーランド首相。
本当に素敵です。
日本の首相にもこういう潔い姿勢を求めたいと思います。