「学校における性被害から子どもを守る」
ヒューマン・ライツ・ナウさんのオンライン・トークイベント『学校における性被害から子どもを守るために、今必要な変化とは』に参加しました。
今日のゲストは石田郁子さんでした。
文科省に「教師による性暴力の予防や再発防止のための政策提言」をしている方です。
石田さんは今年5月、教師による性暴力被害についてインターネットを通してアンケート調査を行いました。
有効回答は10代~70代の726人で、回答者の8割が女性だったそうです。
その結果、学校の教師から在学中や卒業後に性的被害に遭ったことがあるかという問いに対し「ある」と回答した人は42.4%に上ったそうです。
学校での被害が4割、その他学習塾やスポーツクラブでの被害は2割だったそうです。
具体的な被害の内容として、
「体や容姿に関することあるいは性的な発言・会話をされる」41.1%、
「体を触られる、触らせられる」29.2%、
「衣服をめくられる、触られる」が8.5%、
「性的な行為をされる、させられる」7.7%、
「撮影される」4.8%、
「画像を見せられる」・・・、メモしそびれましたが数パーセントでした💦
その特徴として「授業や日常生活の延長」で被害に遭うということで、具体例としてこんなお話がありました。
名札を忘れた罰として、胸を触られる・・・(@ ̄□ ̄@;)!!
その罰以外はとても良い先生で、親からの評判も良く、みんなから好かれる先生だったそうです。
その方もその先生が好きだったけれど、高校生くらいになった時「あれはオカシかった」と、被害に気付いたそうです。
忘れ物をして怒られる時間のホンの一瞬のことで、本人にも「忘れた」という負い目がある中で、それが「被害」だと気付けない・・・。
そんな状況の中で、「指導の延長上」で、教師による性暴力が起きていると言います。
一日3人の生徒が忘れたとしたら、その日の被害は3人。
1週間では15人、1ケ月では60人、1年では・・・💦
そんな風に膨大な被害が起きていると言います。
他にも、体育の授業で「補佐」するかのような形で触られる、女子だけが長い時間水着姿で座らされる・・・。
教師による性暴力は密室で行われるのではなく(行われるケースももちろんあるけれど)、日中堂々と日常生活の中で行われているそうです。
「オカシイ」と思っても、先生の方が力関係が上、先生の方が「偉い」ので「オカシイ」とは言えなかったと。
それから、「好意」や「恋愛」を口実にされることもあるそうです。
先生の膝の上に座らされる、廊下などで手や顔・髪などを触られる・・・。
回りの生徒から見ると「依怙贔屓」されているようにも見え、周りからも「恋愛」のようなからかわれ方をするので、不快でも口に出せないということがあるそうです。
中高生になると「好きだから性的なことをするんだ」と、生徒が先生に抱く憧れや尊敬の気持ちを「恋愛」と思い込ませ、生徒の側にも責任があるかのような持っていき方で性的な関係を迫るケースも増えてくるそうです。
しかし、生徒にとって先生は「安全な大人」であり、性的な対象になることはあまりありません。
生徒によっては「先生が好きで好きでたまらない」ということもあり得ます。
それでも「大人」である先生に、冷静になって止めるべき責任があります。
石田さんも中学3年生の時から大学2年生まで、5年間にわたって中学校の美術教員から被害を受けました。
石田さんは高校受験のため(美術系の高校に進学?)、その先生に絵を見てもらっていたそうです。
卒業式の前日、美術館に誘われて一緒に行きました。
美術館で先生に「さぁ、行こうか」と言われたとき、石田さんは先生が駅まで送ってくれるのだと思い込みました。
しかし連れていかれたのは先生の家で、そこで先生からキスをされました・・・。
先生から「好き」と言われても、先生が子どもを好きになることがあるのか、恋愛というのは大人同士でするものだと思っているので、意味が解らない💦
唇が近づいてくることの意味が解らない💦
頭は空っぽに・・・💦
先生から石田さんに意思確認もされぬまま、どさくさに紛れて関係性が作られ、マインドコントロールされ、関係が5年間も続いたということです。
それから20年余を経て、42歳になってから石田さんは札幌市と教員を相手に裁判を起こしました。
しかし「20年余」という時間の壁に涙を飲む結果でした。
子どもにはそれが性被害かどうか、理解することはできません。
「恋愛」と思い込まされ、コントロールされ、親にも相談することはできませんでした。
それが「被害」だと気付いたときに、裁判所は「もう遅い」「時間切れ」という結論を出したのです。
今回の刑法改正に求められている重要なポイントの一つは、「性犯罪に関する公訴時効を撤廃または停止 」です。
性暴力、特に子どもへの性暴力に時効はない!
ということだと思います。
今求められる「変化」についてです。
石田さんが行ったアンケートでも、先生に「やめてください」と言えた人はほぼいなかったそうです。
せいぜい「身をよじる」などの形で抵抗しただけです。
そして子どもが親や先生に被害を訴えたとき、親も「あの先生がそんなことするはずがない」と子どもを責めてしまったり、学校もことを荒立てないように「黙る」「見てみぬふりをする」というような状況になっていて、警察や被害者支援センターに繋げるということができていないそうです。
大人の「聞く力」を育てることが求められています。
今学校教育の中で、性教育の中で「Yes」「No」と言えるように、自尊感情を育むことが大切にされています。
しかし子どもにだけ「Yes」「No」と言うことを求めるのではなく、まずは教員の側に、教員という立場を利用した生徒への性暴力は絶対にあってはならないということをしっかりと教育すること。同時に生徒が被害を訴えたときに生徒の話を「聞く」という姿勢を育てることが大切だと、石田さんは訴えました。
また、問題を起こした教員への処分が甘く、学校教育法第11条は「体罰」を禁止していますが、わいせつ行為については書かれていないそうです。
問題を起こした教員を免職すること、疑いのある教員を教育現場から一時的に引き離すこと、教員による性暴力やその対応に関する研修を実施すること、生徒及び教員への定期的な実態調査を行うことなどの対策が必要だと、石田さんは訴えました。
非常に共感する内容のお話で、参加して良かったと思うイベントでした。
ヒューマン・ライツ・ナウさん、今回も充実のイベント、ありがとうございました(⋈◍>◡<◍)。✧♡