『セカンド・レイプ』
			            今日読んだのは、『セカンド・レイプ』(落合恵子著 講談社文庫)です。1997年に出版された小説です。
先日『ザ・レイプ』を読んだ後、落合恵子さんの著書をいろいろと調べ、この本の存在を知り、読んでみました。

母親の再婚相手の男性から性暴力を繰り返され、とある雑誌編集部に「助けて」と手紙を送り続けた14歳の女の子。手紙が届いていることを知りながら、何も行動しなかった編集者。女の子はとうとう、義父を殺してしまいました。
 事件を報道するニュースキャスターの女性は、やはり中学生のときに母親の再婚相手の男性から性的虐待を繰り返された体験を持っています。
 自分の中のインナー・チャイルドを救い出せないままに、セックス依存症に陥っています。
 そしてその行動が「ご乱心」などとの言葉と共に、写真週刊誌などで面白おかしく報道されていきます。
 テキサス州では、家に押し入られ、ナイフを突きつけられたレイプ被害者が、被害の直前に「コンドームを使って」と求めたことがセックスの同意にあたるかどうか、裁判で審議されていました。
 ナイフを突きつけられながら、自分の身を妊娠とエイズから守るためにせめてコンドームをつけてほしいと言ったことが「セックスの同意にあたる」として、郡の大陪審では起訴が見送られました。
 この本が出版されたのが20数年前。
 「セカンド・レイプ」という言葉自体が、まだほとんど日本では知られていなかった時代。
 それどころか、性暴力や性的虐待の被害者たちがまだほとんど声をあげることさえできなかった、そんな時代にこの本が書かれました。
 アメリカでは既にこの言葉が生まれていて、こうした問題に関わる専門家からは注目され始めていた・・・。
そんな時代だったのだと思います。
 落合恵子さんは「セカンド・レイプ」という言葉と出会った時、性暴力の問題を取り上げ、新しい光を当てていくうえで、この言葉は「セクシャル・ハラスメント」という言葉と同様に社会に必要な言葉だと考えたそうです。
 そして、この本を描いたのだと思います。
 やっぱり落合恵子さん、すごいです!
 セクシャル・ハラスメントや性暴力の被害者の被害が一度では終わらず、それを告発する過程で、社会から二度目のレイプ、人権侵害を受ける・・・。
 そんな社会は変えていかなくてはいけません。
