『ラーゲリより愛を込めて』山本幡男さんの次男さんの講演
定期購読している「SAITAMAねっとわーく」No458(7月号)、7月も末日の今日になってようやく読みました。
トップ記事は、今年大ヒットした映画『ラーゲリより愛を込めて』のモデルになった山本幡男さんの次男、厚生さんの記事でした。4月29日に「埼玉うたごえ9条の会」が主催した、厚生さんをお招きしての講演会の内容が書かれています。
『ラーゲリより愛を込めて』はこの春私も観て、とても感動した映画でした。
敗戦時にシベリアに抑留され過酷な環境の中での強制労働、希望のない収容生活の中で常に前を向き、短歌会などを作って仲間を励まし続けた山本幡生さん。喉頭がんで、日本への帰還を果たすことなくシベリアの地に倒れた方です。
その方の書いた妻・母・子どもたちへの遺書を収容所の仲間たちが手分けして丸暗記し、そしてその仲間たちの帰還と共にその遺書が家族のもとに届けられたのでした。
山本さんの生き方とその遺書は、本当にたくさんの方に感動を与えました。
そしてSAITAMAねっとわーくに描かれた次男、厚生さんの講演。
「子供等へ」の遺書の内容は「各地の文化を破壊した支配思想を反省して、人道主義で世界文化を再建しよう。日本民族ならそれができるはずだ。この歴史的使命を片時も忘れてはならぬぞ。」
「近代以降、日本は西洋の先進国を真似てアジア諸国支配に乗り出しました。本来の日本民族の特質は、文化の強要ではなく、違う文化でも共感できるものはどんどん取り入れて新しい文化を豊かに作り出す『融合』なのだぞ、それが世界文化の再建だと父は考えていたのだと思います。だからこそ収容所で句会を作り、日本の文化を学んだのでしょう。『人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進する』『進歩的な思想を忘れてはならぬ』とも言っています。」
「最後に私が伝えたいのは、憲法前文です。主権は国民にあること、国家が戦争をしようとするとき、国民は止めなければならないとあります。いまの国家がやっていることは、この前文と見比べてどうでしょう。99条では、天皇だろうが国会議員だろうが、すべての公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務がある。この憲法を、政府は壊そうとしています。憲法違反ですよ。収奪や支配、戦争のない未来社会でこそ、多様な文化が花ひらきます。ではどうしたらいいか。ウソつきが支配し閉塞する社会の状況を国民が見抜き、自覚し、これに与しないことが重要です。自由、平等、基本的人権、そして地方自治、すべて憲法に書かれていることです。これをみんなで実行すれば、世の中は変わります。」
素晴らしい講演だったのだと思います。すっきりと気持ちよく励まされました。