『同年同郷』

2023年10月09日

色々と説明が面倒なので、出身地を問われると岐阜だと話しています。でも本当は中学卒業までを過ごしたのは愛知県で、岐阜県と長野県に隣接する山間の町でした。
小学校の同級生は9人。1年生に入学した時の全校生徒は54人、卒業時は36人でした。
9人のうちの一人は私、もう一人は隣の家の男の子。そしてもう一人は更にその隣の女の子で、私たちはその町の中でも人口密集地(?)に住んでいました。
幼稚園も近くにはなかったので、私たちは3人で話し合って「幼稚園には行かない」と決めました。3人で遊んでいるほうが楽しいよねと話し合った時のことを、未だに覚えています。
地元には高校がなかったので、中学を卒業と同時に3人とも町を離れました。
その後一人は町に帰りましたが、私たちは帰ってもいないし、ほとんど連絡も取り合っていません。その町のインスタを、「私の知ってるあの町じゃないなぁ」と傍観者のように思いながら、時々眺めるだけの私です。

実は看護学校3年生の時に町役場の方がわざわざ二人で私に会いに来てくださって、保健師学校に進んでほしい、卒業したら町に帰って地域保健のために働いてほしいと言ってくださったのですが、私はいとも簡単に断ってしまいました。
周囲からは厳しく叱られましたが、都会のお互いにどこの誰かも分からないような生活がとても楽で、人間関係が温かいけど煩わしい田舎に帰る気持ちにはなれませんでした。

もしその時の誘いに乗ってあの町に今も住んでいたとしたら、過疎化がさらに進み、子どももあの当時よりも更にずっと減ってしまった町で、私たちは一体何を考えていただろうかと思いながら観てしまいました。
『同年同郷』くるみざわしん作、東憲司演出、川口龍・根本大輔・玉木裕也出演)。

町を存続させるためには、放射性廃棄物の最終処分場を誘致して国からお金をもらい、雇用を確保し、町おこしをするしかないと考える誰かがいてもおかしくありません。
それで町が潤えば、町を捨てる人は確かに減るはずです。
放射性廃棄物という捨て場のないゴミがあることも現実、その最終処分場を国内のどこかに作らなくてはならないことも現実。国と電力会社がお金を落としてくれるので、町が潤うことも現実。
だけどそんな危険なものを本当に誘致して良いのか?誘致するためには何をしても良いのか???
もしかしたらこれは、「軍事基地」とか「原発」とかに置き換えても良いような話にも思えます。

くるみざわしんさんの多角的で深い視線に、今回も驚かされました。
素晴らしい作品でした。