『日本国憲法の解説』

2021年08月20日

義母が終活中で、実家に預けっぱなしだった旦那クンの荷物が手元に戻されました。
その中に、凄い本を発見Σ(・ω・ノ)ノ!『日本国憲法の解説 社会化学習用・新訂版』。1971年、旦那クンが中学2年生だった時の社会化の副教材だったみたいです。

旦那クンが中学2年生だったのは、なんと今からちょうど50年前の1971年(@ ̄□ ̄@;)!!
よくもまぁこんな本を大切にしまっておいたものだと、義母の物を大切にする心に改めてびっくりしました。
それから、私が中学生の時にはこういう本はなかったと思うので、70年前後のころまでの憲法教育ってすごく充実していたんだろうなぁと思います。

ちょっと首をかしげる部分もあり、今の憲法解釈には合っていないんじゃないかと思う部分もありますが、どんなことが書いてあるか、ご紹介させていただきます。

まずは「天皇はどういう位置においでになるか」(P13)
旧憲法では、天皇が日本の国を統括する一切の権力を握っておられたが、民主主義の新憲法下国家の統治権はすべて国民全体のものとなったので、天皇は最早最高統治者としての地位にはおいでにならない。
しかし、我々国民が天皇を敬い仰ぐことちょうど国家の姿を見る如くであり、又、天皇ご一家は国民全体が統合され一体となっている状態を表現しておられるのである。このような地位は我々国民すべての意志によってお決めしたのである。
・・・だって💦 

「戦争の放棄とはどういうことか」(P19)
前文第二段に明言した平和主義を実行するため、我々は、いかなる場合にも、独立国として当然の権利である戦争を絶対に行わず、また、他国との紛争を解決するため、武力を使って相手を脅かしたりその領地に侵入したりすることは永久にしない。
そのため日本は、陸海空軍その他戦力に関係ある一切の設備を取り除いた。だから、たとえ外国の侵入を受けたとしても、これと戦争を交える権利はない。
・・・だって💦 侵入を受けたときの自衛権は当然認められているはずなので、この書き方は少し硬直的な気がします。

「国民の基本的人権とはどんなことか」(P21 )
基本的人権は、人類が長い歴史を通じて、自由と平等を獲得するために努力してきた結果、多数の諸国が憲法を制定して保障するようになったもので、各国民は今日までこの天賦の権利を幾多苦しい困難の中で守り抜いてきたのである。

  1. 基本的人権は、男女、地位の如何を問わず、すべての国民が享受すべきものであって、国家の権力を以てしても侵すことは出来ず、しかもその効力は憲法が将来永遠に保障する。
  2. 基本的人権は、国民が絶えず努力して保持しなければならない、濫用して社会の安寧秩序を乱してはならない、また、公共の福祉のために進んで利用しなければならない。
  3. (1)国民各自が自分の生命・自由・幸福のために主張する権利は、それが公共の福祉に反しない限り国政上最も尊重せねばならない。
    (2)社会生活において各人が出来る限り、幸福、安全、健康な生活を送り得るように、国家は社会施設に万全の努力を払わねばならぬ。

「憲法は人格平等について同規定しているか」(P23 )

  1. 国民はすべて、政治、経済、社会生活の全部にわたって、絶対平等に取り扱われ、人種、信仰、賛助の別、社会的身分や家柄で如何なる差別待遇も設けない。
    栄典の効力=勲章、褒章、位階を与えられた者は何らの特権も得るわけではなく、その名誉は世継ぎの者が受け継ぐことは出来ない。
  2. 男女は二人の間で意見さえ合えば結婚できるが、結婚生活では夫婦の権利は絶対平等であり、お互いに二人は助け合って幸福な家庭を築かねばならない。

「基本的人権の根拠」(P23)

  1. 国民は国家を形作っている一部分である⇒等しく国政に参加する権利がある。
  2. 国民は国内で社会生活をしている一員である⇒国家が設けた社会的施設を利用し、その利益を享受する権利がある。
  3. 国民は個人として各自が人生の目的を持っている⇒その生命・自由・財産を侵されない権利がある。

・・・なるほど(⋈◍>◡<◍)。✧♡

「基本的人権にはどんなものがあるか」(P25)

  1. 参政権(選挙権)=国家統治権を行使する一員として、国の政治に参加する権利
  2. 受益権(請求権)=安全幸福な社会生活を営むため、国家に特定の行為を要求し、また、社会的施設を利用したりその利益を享受する権利。
    請願権、損害賠償請求権、生活権(健康で文化的な最低限度の生活ができるよう国家の保護を要求することができる)、教育を受ける権利、勤労の権利、自由権(人身の自由、思想信条の自由、信教の自由、集会・結社・思想信条の自由、居住・移転・職業選択・外国移住・国籍離脱の自由、学問の自由)勤労者の団結の自由、私有財産権
「国民はどういう義務を有しているか」

  1. 納税の義務
  2. 子女に教育を受けさせる義務
  3. 勤労の義務

・・・なるほど!
「自助の義務」とか、無いんだな💦よくわかりました💕


この本を読んで一番納得したのは、「地方自治について憲法はどう規定しているか」(P79)です。
「家庭は一つだけでは生活してゆくことは出来ない。
数多くの過程がお互いに協力し、お互いに幸福と利益を増してゆくために共同生活を営んでいる。
その集団生活は、村や町や市という形で営まれるのであるが、この市・町・村はこれを組織している個人や家庭に利益を与え害悪を防ぐことをその目的として政治を行う。この点から、市・町・村などを地方公共団体と呼ぶのであるが、地方公共団体が住民の利益と幸福のために組織されている以上、住民は自ら地方公共団体の仕事を決めこれを実施していくのが当然である」。
これまで、地方自治の本旨は住民福祉の増進だと学んできました。
そのことはちゃんと胸に落ちていて、いつもそう考えていますが、なぜ住民福祉の増進が地方自治の本旨なのかは、なんとなく「感覚として」しか理解できていなかったような気がします。
市町村以前に各家庭があって、近隣の家々と協力し合いながら暮らしてきた。
その協力はより良いくらしのためであり、だからこそ地方自治の本旨は住民福祉の増進なんだと胸に落ちました。
そして、住民は自ら地方公共団体の仕事を決め、実施していくことが当然であり、それが地方自治権ということだと思います。それをきちんと身につけさせるため、当時の中学校ではこういう憲法の解説書を使用していたのだろうと思いました。
中学生にわかるように憲法が語られていて、大人が読んでもよく理解できます。