『続 窓ぎわのトットちゃん』

2024年04月16日

黒柳徹子さんの著書『続 窓ぎわのトットちゃん』を読みました。

黒柳徹子さんが40年前に出版し、全国で800万冊、世界で2500万冊も売れたという、『窓ぎわのトットちゃん』の続編です。
『窓ぎわのトットちゃん』は小学校一年生で公立小学校を退学させられたトットちゃんが、自由な校風のトモエ学園で活き活き伸び伸びと過ごす様子が描かれた本だったと思います。
『続 窓ぎわのトットちゃん』は、戦中から戦後にかけてのトットちゃんの暮らしが細やかに描かれた本でした。トットちゃんのお父さんは有名なバイオリニストで、軍歌の演奏は拒んでいたこと。
そのお父さんは二十歳の時の徴兵検査では「丙種合格」だったのに、30歳を過ぎて徴兵されて満州に行かされたこと。
そしてシベリアに抑留され、帰還したのは敗戦後4年も経ってからだったこと。
トットちゃんの家庭はとても裕福な暮らしをしていたけれど、食糧難で一日15粒の豆しか食べられなかったこと。
あとがきには『徹子の部屋』での三波春夫さんや淡谷のり子さんが語った「戦争」が描かれています。
北満での対ソ戦で、三波春夫さんが撃った弾が若いソ連兵にあたったこと。夜、暗闇の中にソ連兵の「ママ、ママ」という声が響き、やがて消えていったこと。
淡谷のり子さんが慰問した航空隊では、淡谷のり子さんがブルースを歌う最中に満面の笑顔で敬礼をし、若い特攻兵が出発していったこと。
確かこのお話は、3月末まで放送されていたNHKの朝ドラ『ブギウギ』にも描かれていた話だったと思います。

タモリさんの「新たな戦前になるんじゃないですかね」という予想が永遠に外れ続けることを願うとの徹子さんの言葉。
声高に「戦争反対」と言っているわけではないけれど、黒柳徹子さんの平和への願いが込められた大切な一冊だと思いました。 
私もタモリさんの予想が永遠に外れ続けることを願います。