『若きハルサーたちの唄』
よしかわ憲法サロンさんの企画、「若きハルサ―たちの唄』上映会に参加させていただきました。「ハルサー」とは沖縄の言葉で「畑人」「農民」を表す言葉だそうです。
政府は中国の脅威論の元、九州の島しょ部や沖縄に次々と自衛隊の基地を建設しています。「自衛隊の空白を埋める」ため、「我が国の自衛のため必要欠くべからざる」こととしています。
しかし建設にあたって、防衛省は市長に直接計画を伝えただけで住民への通知・説明等は怠りました。
こうした中で、ハルサーを中心とした市民は石垣島ミサイル基地建設の賛否を問う住民投票条例制定を求め、闘いました。
「住民投票条例制定を求める署名」は石垣市の有権者の3分の1を超える筆数を集め、市議会に提出されました。議会では賛成10、反対10、議長決裁で否決され、間もなく陸上自衛隊ミサイル基地建設工事が着工されました。
ハルサーを中心とする市民30名は、今度は那覇地方債に「石垣島住民票義務付け訴訟」を起こしました。「石垣市自治基本条例」第28条には「市民のうち本旨に於いて選挙権を有する者は、市政に係る重要事項についてその総数の4分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる」と明記されていて、その4項には「市長は第1項の規定による請求があった時は、所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない」と書かれているそうです。
条例どおりに住民投票を実施せよというのが、原告団の主張です。
しかし那覇地裁はこの訴えを却下しました。「行政訴訟の対象にはならない」という判断です。
原告団は控訴しますがそこでも訴えは棄却されました。
その理由は「石垣市自治基本条例は『市長に対して無条件に住民投票を実施することを義務付けるものではなく」、「(新たな)条例に基づいて住民投票を実施することを義務付ける」と解釈すべきという、これまた意味不明な判断です。
最高裁でも棄却されました。
その理由は「(住民投票の)選挙権を有する者が投票しうる地位にあることを確認する法的利益がそもそもない」「その投票結果は尊重されるにとどまり、何らかの法的効果を生ずるものではない。投票の結果に法的な効果が与えられない以上それは、市に対しる陳情や要請と変わることなく、投票結果は世論調査と大差ないもである」。「自衛隊配備の賛否を問う方法は住民投票でなければならないわけではなく、街頭署名活動や演説、マスメディアなどでの自由な表現活動が可能である」
なんだか「住民自治」がとことん蔑ろにされ、バカにされ、国の横暴がまかり通る、そんな事態になっていませんか?
それが自衛隊のミサイル基地建設の問題で、そのミサイルって所謂「敵基地攻撃能力」ってやつじゃないのでしょうか?
そうしたら石垣島の住民は、万が一日本が本当に戦争を始めてしまったら真っ先に攻撃されるところに住んでいるということで、ただそこに住んでいるというだけで戦争の最前線に立たされてしまうってことですよね?
その住民の意思が全く蔑ろにされているというこの現実から、目を背けることはできません。
石垣島は私も大好きな島です。
以前はダイビングを趣味にしていましたが、10月の石垣島はマンタスクランブルにマンタが行き交い、海の中で壮大な自然にただただ感動するひと時を過ごしました。
その石垣島の現実に、本当に胸が痛みます。