『草 日本軍「慰安婦」のリビングヒストリー』
2024年02月14日
この本、凄いです。
『草 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー』(作:キム・ジェンドリ・グムスク 発行:ころから)。
既にフランス語・英語・イタリア語に翻訳されていて、多分2024年の今はスペイン・ポルトガル・アラビア語版も出版されているのだと思います。
国際的な評価も非常に高い作品です。
グラフィック・ノベルというのだそうです。
私には漫画とアニメとグラフィックの違いはよく分かりませんが、この絵が凄いということは本当に良くわかります。
要するに絵画化された、元日本軍「慰安婦」李玉善(イオクスン)さんの文字通りリビング・ヒストリーです。
リアルな描写はどこにもないのに、李玉善さんの様々な思いがとてもリアルに伝わり、胸を打ちます。
そして李玉善さんに聞き取りをしながら、作者のキムさんが何を感じたのかもまたリアルに伝わってきます。
貧しい家庭に生まれた李玉善さんがどれだけ傷つけられ、人権を踏みにじられながら生きてきたのか。
貧困と国家とジェンダーなどなど、自分の力では抗い得ないものに翻弄され続けた李玉善さん。
そして旧大日本帝国はどれだけたくさんの李玉善さんをつくったか・・・。
「慰安婦」だったと名乗り出ることだって、どれだけ大変なことだったのか。
それでも名乗り出たのは、恐らく自分自身の人生を失わないためだったのではないかと思います。
李玉善さんが求めたのは、ただ当たり前の幸せだったのだと思いました。
この本を読んでなお、歴史修正主義のあの人は「金目当て」と豪語することができるでしょうか。
ぜひぜひ、多くの人に読んでいただきたい一冊だと思います。