『蝉丸と逆髪』

2024年04月01日

くるみざわしんさん作『蝉丸と逆髪』、朗読劇を観に行ってきました。

能で古くから演じられているお話を舞台用に脚本化した作品とのことです。

「蝉丸」は実在の人物だったのかどうかよく分かりませんが、百人一首で「これやこの 行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関」と謳った盲目の歌人です。
蝉丸も逆髪も天皇家に生まれた子どもで、蝉丸は盲目。逆髪は「ものぐるい」、つまり何らかの精神疾患があったのでしょう。
それ故に二人とも逢坂山に捨てられてしまいます。
何故なら皇室典範の第3条には、「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる」と書かれているから。
精神障害者や身体障害者は天皇家には要らない。
天皇制を守るためには、自分の子どもを捨てることさえ厭わない。
それが「天皇制」の本質。

そして、その皇室典範は今も現存して効力を発揮しています。
天皇制というものがいかに前時代的で、インクルーシブともジェンダー平等とも無縁か。戦前の家制度そのままの制度だと、改めて思い知らされました。
部下たちは何をすれば甘い汁を吸えるのかばかりに夢中。

くるみざわしんさんの作品はやっぱり凄いです。
「物事の本質に大胆に迫る」と言ったら良いのでしょうか。
私はこの方の迫り方がとても好きです。
10月には青山の能楽堂で演じられるとのこと。楽しみです。