『82年生まれ、キム・ジョン』
先日、『慰安婦』問題とジェンダー平等ゼミナール第10回総会に参加しました。
記念講演「大学生と一緒に考える『日韓』問題のモヤモヤ』、講師は一橋大学准教授、加藤圭木さんでした。
色々なお話があってとても面白かったのですが、その中で韓国で最も売れているフェミニズムの本は『82年生まれ、キム・ジョン』だと聞きました。
この本の存在は以前から知っていて気になっていたのですが改めて「読まなくては」と思い、即座に購入し、昨日から今日にかけて一気に読み終えました。
私は82年よりもずっと前に生まれましたがキム・ジョンさんの感じる違和感、息苦しさ、すごく良くわかりました。
私の父は大正生まれでしかも読み書きができなかったので、「オンナに勉強はいらない」との強い思いがありました。
勉強をしていると叱られてしまうので、いつも隠れてこっそりと勉強していました。
大学に行きたいとはどうしても言えず、手に職をつけたいからと看護学校への進学を主張するのがやっとでした。
そうそう、中学生の時、同級生の発言に本当に驚いたことがありました。
書初めの授業。
机を教室の後ろに片付け、床に正座しながら書道をしていました。
何故かは忘れましたが移動のため、私は同級生の男の子の書いた書を跨ぎました。
その時同級生は「オンナのくせに跨ぐな!汚れるだろう!!」と叫びました。
「え~っ!!」「なぜ女性が跨ぐと汚れるのか!!」そう言いたかったけれど、同級生の剣幕に恥ずかしさを覚えてしまい、何も言えなかった悔しさを未だに忘れることができません。
だけど何故、オンナが跨ぐと汚れるのでしょうか?
何が汚れるのでしょう?
看護師の資格を取り、就職して精神科病棟に配属された時、初めて自分のやりたい仕事を見つけた気がしました。
精神科看護の仕事は本当に面白く、生涯この仕事を続けたいと思ったものでした。
しかしたまたま出会った男性が職種は違ったけれど同じ志を持ち、その人と結婚を決めたときには当然のように私の方が異動を命じられました。
命じられた移動先は外科外来で、不器用な私には到底見合わない職場でした。
退職するしかないと判断し、主婦になりました。
東京に出てきたばかりの私には友だちもなく、非常に孤独な主婦生活でした。
自分のこれからをどんな風に考えたらよいのか、どんな風に設計してよいのかわからず、ただただ困惑した時期でもありました。
同じ時期、パートナー君は仕事の中で自分を磨き、社会の中で認められていきました・・・!!
パートナー君は案外とイケてる人で、案外とまじめに社会のことも考えていて、ジェンダー平等もそれなりに深く考えている人だと思います。
それでも同じように仕事を終えて帰宅した時、パートナー君はまずソファーに腰かけ、ビールの缶をプシュッと開け、おいしそうに飲み始めます。
私はと言えば、どんなに疲れていてもまず台所に行き、晩ごはんの支度を始めます。
この違和感!!
今でさえ私が忙しく、急な会議が入ったりして晩ごはんの仕度ができなくても、パートナー君は文句ひとつ言わずに自分で支度してごはんを食べています。
でも私のごはんまで気遣ってくれることはありません。
どんなに掃除が行き届かなくても文句を言われたことはありませんが、パートナー君が自ら掃除機をかけ、お風呂やトイレの掃除を始めることもありません。
ジェンダー不平等の現実はあまりに根深く、多くの女性が違和感を感じつつ、何も変えられずにいるのが現実だと思う今日この頃。
この本を一人でも多くの男性にこそ、読んでいただきたいと思います。