『RAA~進駐軍特殊慰安所~』

天皇の玉音放送から始まる朗読劇。
その言葉の一つ一つがスクリーンに映し出されると、玉音放送とは何と無責任・無反省極まりないふざけた内容のものだったのだろうと改めて驚き、一気に物語の世界に引き込まれてしまいました。国民の暮らしを豊かにして、アジアの繁栄のための戦争であって、他の国の領土を侵略し、主権を侵すようなことは考えてもいなかった。なのに敵は原子爆弾投下という残虐な行為を行い、このまま戦争を続けたら私は国民を守り切ることができない。
だから私が政府に命じてポツダム宣言を受諾させた。
我が国にはこれから相当な苦難が待っている。しかし忍び難きを忍び難きを、耐え難きを耐え、そして国体を護持して、国の再建と繁栄のために、みんなちゃんと頑張れ。
・・・って感じの内容ですよね?
なんだか、ふざけているΣ( ̄□ ̄|||)
進駐軍が来たら女性たちは強姦される。だって日本兵は中国で散々それをやってきたのだもの。進駐軍もやるに決まっている。
国体を護持するために、日本の女性たちの貞操を守らなくてはならない。だから元々身体を売って行きていた女、戦争で家や夫を亡くして明日の食事にも困るようなオンナを集めて防波堤にすれば良い。
でもそんなことを国として表立ってやるのは恥ずかしいし、また国体の護持に影響する。だから何が何でも秘密裏に・・・。
そうして作ったのがRAA、進駐軍のために女性が身体を差し出す施設、特殊慰安所。
しかも作りはじめたのは敗戦わずか3日後Σ( ̄□ ̄|||)
国を守るための仕事だと騙して集めた女性の中には処女もたくさんいて、中には京浜東北線に飛び込み、生きることを断念してしまった女性もいた!
この話は国会ではかつて日本共産党の吉川春子さんが追及を重ね、様々に調査研究された本も出版されています。小説では乃南アサさんが『水曜日の挽歌』に描き、演劇ではくるみざわしんさんが『あの少女の隣に』に描いています。
こんな風にいろんな人がいろんな形で事実を表現していくこたがとても大切な気がします。
色んな人が色んな形で事実を知り、心に刻み、歴史に刻み、ふざけた歴史を直視するようにならないと。またどこかで同じ過ちを繰り返すことになるんじゃないかと危惧しています。