コロナ禍での看取りのはなし

2021年01月23日

少し前にも書きましたが、コロナ禍の中で、コロナ以外の病気で亡くなっていく方々、見送る方々にも、とても大きな負担がのしかかっていると感じます。

今日お話をしてくださったある方は、つい最近お母様が亡くなられました。
入院して、もういよいよというときに、病院から連絡があったそうです。
最期にご家族に一目でも会わせて差し上げたい、会っていただきたい。そのためには(感染対策として)個室に移動させていただきたいとの連絡だったそうです。
今、看取りの時にすら面会もできないというお話も聞きますので、こうしたご配慮は病院としても本当に誠意を尽くしてくださったのだと思います。
ただ、その個室料金はご家族の負担とのことでした。
そして、個室に移らなければ面会もできないとのこと・・・。
つまり、個室料金を支払える人でなければ、看取りの時でさえ会うこともできない・・・。
とても残念な状況です。

多くの場合、病院側の都合で部屋を移動しなければならないとき、その個室料金は取らないということが多いと思います。
でも今は病院経営も本当に深刻な中で、そんな悠長なことは言っていられない、そんな事情もあるのではないかと推察します。
それでも、個室料金が払えなければ親の死に目にも会えない・・・。
なんとも悲しい事態だと思います。

お話をしてくださった方は、面会の前提としてPCR検査を受けておきたい、陰性だと確認したうえで面会したいと考えたそうです。
病院での自費診療、検査を相談したところ、その費用は3万円でした。
ご家族分の検査費用は、かなり大きなものだったと思います。

同じように親族の方が終末期を迎えられ、面会の前提としてPCR検査で陰性を確認するように言われ、どこで検査を受けられるのかとても戸惑ったというお話も先月伺いました。
コロナの問題は、今やコロナだけに留まらない、私たちの生活のいろんなところに及んでいると感じます。
PCR検査、社会的検査をだれでも気軽に受けられるような仕組みが本当に必要だと感じます。
3万円の検査、誰でも手軽に受けられるような仕組みにしていかないといけないのだと感じます。
もちろん、「一度陰性が出たからもう大丈夫!」というような話ではありません。
偽陽性ということだって、十分にあり得ます。
でも、無症状感染者がたくさんいて、感染が知らないところで広がってしまっているという現実、それでも人々の生活があり、社会は動いているという事実を考えると、やはりPCR検査、社会的検査を充実させていくしかないのではないかと思います。

お金が払える人だけが社会的検査を受けられる、お金のある人だけが最期の看取りの場面に立ち会える・・・。
そういう社会は、あまり良い社会だとは思えません。