一体どうやって暮らしていけば良いのか・・・

2024年03月16日

3月議会には国民健康保険税・介護保険料、そして水道料金の値上げが提案され、昨日の本会議でどの議案も賛成多数で可決してしまいました。
4月から私たちの暮らしは増々追い詰められることになってしまいました。

驚くのは国民健康保険税です。
市はホームページや『国保ハンドブック』にモデルケースの介護保険料を示しています。
世帯主は42歳男性、所得(給与の総額から給与所得を引いた額)は300万円。妻は38歳で収入はなく、子ども二人もまだ学生で収入はないというケースです。
今年、この世帯に課せられる国保税額はなんと49万円です。
所得の6分の1もの課税額です。
モデルケースとは言いながらも、このご家族は一体どうやって暮らしていけば良いというのか、本当に胸が痛みます。

国民健康保険は2018年、「国保財政の安定」を目的に運営主体が市町村から都道府県へと移行されました。
国保税の負担はあまりにも重すぎるので、それまで各自治体はそれぞれに一般財源から国保特別会計へ法定外の繰り入れしていました。
しかしこの都道府県化により、各自治体は法定外繰り入れを止めることが求められるようになり、加入者に更に重い負担が求められるようになりました。
都道府県化が行われた2018年の時点で、同じモデルケースの税額は44万円でした。
今年度の負担は45万円です。
1年で4万円、6年間で5万円も負担増です。

今、給料や年金は若干上がっていると言われていますが、物価高騰には追い付かず、上がっている実感を得ている人は非常に少ないものと思います。
とても厳しい生活が強いられている中での5万円もの負担増です。
でもこのケースが県から求められている本当の支払額(標準保険税率)は56万9,500円です。
今は激変緩和策がとられていて、法定外繰り入れが年々減らされながらも実施され、基金(国保の貯金のようなもの)からもお金が投入されているので49万円の負担におさえられています。
この激変緩和策、法定外繰り入れも2027年までには解消することが求められていて、その時には県が求めている通りの56万9,500円の負担が求めらることになります。
しかもその時には今よりも更に高齢化が進んでいて、国保財政の医療費負担は更に増大していると思われ、その分だけ国保税の負担は更に大きくなることが見込まれます。

それって、滅茶苦茶だと思いませんか?
社会保障って富の再分配で、どんなに所得の低い人も「最低限度の健康で文化的な生活」が保障されていて、それを保障するのが国民健康保険制度だったはずだと思うのです。
そして地方自治の本旨は住民福祉の増進出会って、一人ひとりの豊かな生活を保障することこそが役割だと思うのです。
でも現実には所得の低い人の生活を追い詰め、苦しめているような制度になってしまっているのではないでしょうか。
あまりにも国保税が高すぎて払いきれず、滞納しているので体調を崩しても受診することもできず、健康を害している人がたくさん発生しているのではないでしょうか。
全日本民医連は2022年、経済的理由で医療にかかれずに死亡した人が少なくとも45人はいるという調査結果を発表しています。
こんな滅茶苦茶な話を止めてほしいと心から思います。

とても残念に思うのは、この議案に反対したのは共産党の3人の議員だけだったということです。
私たち議員の仕事は市民の声を市政に届けることであり、国や県・市の立場を市民に説得することではないはずです。
なぜ他の議員のみなさんが問題視しないのか、とても不思議です。

社会保障費の増大を防ごうという、それ自体は私も理解することができます。
お金は決して無尽蔵にあるわけではありません。
少しでもその増大を防ぐことは大切なことだと思います。
でも本当に社会保障費の増大を防ぐなら、一人ひとりが自分の健康に気遣いながら活き活きと自分らしい人生を送ることができる社会をつくるのが一番確実な方法だと思います。
国がやっているのは年金を減らし、医療費や社会保障費の負担を増やし、年金だけではとても暮らしていけないような状況を拡げ、窮屈な社会づくりのように思えてなりません。
健康で活き活きとした人生とは程遠い社会づくりです。

そんな社会で本当に良いのでしょうか。
そしてもう一方で国がやっていることは、要りもしない古ぼけたアメリカのミサイルを大量に購入し、軍事費を増やし・・・。そんなことです。
国の間違った政策は、結局は私たち一人ひとりの生活にのしかかってくるのだと思います。
それを最後のところでダメ出しできるのが地方議会だと思います。
国がやっているのだから正しいとか、国がやっているのだから変えられないとかそんなことではなく、一人ひとりの暮らしを守るために、私はできる努力を全力でしていきたいと思うのです。