加須市の田んぼソーラーシェアリング

2024年08月19日

ご近所で市議の同期、何となく感覚が近いところがあり親しくしている岩田京子さんに誘われて、エコ・リサ(埼玉エコ・リサイクル連絡会)の視察・研修会に参加させていただきました。
午前中に伺ったのは、加須市で田んぼのソーラーシェアリング(第2市民発電所)を実施している農業従事者、松本さんの田んぼです。

私は3年ほど前に、先輩議員の遠藤さんと二人で一度お伺いしたことがあるのですが、その時は5月で田植えの時期でした。
今回は稲穂もたわわに実った状態を見せていただくことができました。

このめちゃくちゃ暑い夏、ソーラーパネルを設置していない田んぼの気温は、午後2時ころで約40℃。一方、ソーラーパネルを設置した田んぼの気温は33度。エアコンの下にいるような状況。
ソーラーパネルを設置していない田んぼの稲穂は焼けて白っちゃけていたり、青い稲穂が残っていたりと育ちが一様ではない。設置している田んぼの稲穂は育ちにバラツキがなく、米粒も他の田んぼの米粒よりも7~8%大きく、質も高い。暑さに負けないで育ち、でんぷんをしっかりと貯めることができるためだろうとのお話。
但し収穫量は少なく、私の記憶では、農薬を全く使わない水田:農薬を少しは使う陸田:ソーラーパネルを設置した陸田の収穫量は8:7:6とおっしゃったと思います。
ソーラーパネルを設置した田んぼの収穫量は少ないけれど、高く売れるとのことで、1俵当たり3万円。他の田んぼの米は1万5~6千円とのことで、倍近く高く売れるとのお話でした。

ソーラーパネルの売上は年間190~200万円。
パネル設置のための初期費用は1,600万円。売上から毎年100万円返済し、それでも剰余が出るので社会奉仕活動として寄付をしているとのこと。
他の農家さんのソーラーパネルの設置、「半農半電」を推奨したいと考えている松本さん。「太陽から請求書は来ない」、この言葉は前回お邪魔した時にもお聞きしましたが、素晴らしい名言だと思います。

松本さんの田んぼは1町5反。兼業農家としては平均的とのこと。
今国の政策は農業の大型化で、大型化するなら補助金がもらえるとのこと。規模拡大はもちろん自由だけれど、国の言いなりになって大型化を進めることで逆に借金ばかりを背負うことになり、一家離散というような悲惨な状況も産まれている。
国の言いなりになって進めるべきではないとのお話もありました。

また、今米の価格が高騰し、スーパーから米がなくなっていると様々なメディアが報道しています。
今年5月、立憲民主党・国民民主党・共産党・社民党などの野党が強く反対する中で、改正「食料・農業・農村基本法」が成立しました。
食料自給率の向上の目標を投げ捨て、食料の海外依存を継続し、歯止めない輸入自由化・大規模化一辺倒の農政。松本さんも国会に傍聴に行かれたそうですが、野党の質問に対して農林水産大臣も行政官も誰もまともな答弁ができない、そんな状況だったそうです。
それでも自民党と公明党の参政でこの法律が通ってしまい、その矢先の米不足・・・。
松本さんは国の悪政に、はっきりと怒っていらっしゃいました。