国保会計への法定外繰り入れを減らしてはいけません!
3月議会の最終日、私は市の国民健康保険特別会計予算について反対討論をしました。
国民健康保険のあり方は、今本当に大きく問われている問題だと思います。
多くの市民の皆さんから、「国保税が高すぎる」という声が寄せられています。
本当に高いのです。
市のホームページ、「国民健康保険税の決め方」を見るとよくわかります。
世帯主(42歳、所得300万円)、妻(38歳、所得なし)、子2人(学生、所得なし)の場合の1年間の国保税は、年間なんと44万円です。
しかも、4人暮らしで年収300万円というこの収入、この方の所得は400万円弱だと思います。
給与票の総額が400万円弱で、手取りが300万円という意味です。
300万円で母娘人の暮らし。
勝手に決めるのは何ですが、年齢から考えれば、そろそろ子どもたちは大学受験も視野に入れ始めるころかもしれません。
300万円の暮らしは、そうした将来設計を考えたとき、厳しいと思わざるを得ません。
しかも、この収入では減額措置の対象にもなりません。
それなら妻が働けばいいじゃないかと思う人もたくさんいるでしょう。
でも、この奥様はもしかしたらうつ病かもしれないし、何か障害があるのかもしれません。
国保加入世帯は、そういう方々が多く入っているのです。
国保加入世帯の平均所得は1990年の276万5千円をピークに年々下がり、2016年では183万8千円です。
市の計算モデル以上に厳しい生活をしている加入者世帯がたくさんあるのです。
国民健康保険は、年金生活者・失業者・健保日適用の事業所に務める労働者、零細経営の自営業者など、所得の低い人が多く加入する医療保険です。
国民健康保険税は低所得層が多く加入する保険でありながら、その負担はあまりにも重いのです。
私の生活相談に来てくださったある方は、「国保税の負担によって、生存権が脅かされている」とおっしゃっていました。
本当に、それくらい負担が重い現状だと思います。
そして、同じ年収の協会けんぽ加入者の保険料は年間20万円前後です。
国保の約半分の金額です。
この金額を見ても、国民健康保険税は低所得層が多く加入する保険でありながら、その負担はあまりにも重いものだということがはっきりとわかります。
市長の施政方針には「国民健康保険事業が持続可能なものとなるよう、健全で安定的な財政運営に努めてまいります」と記されています。
この意味について文教福祉常任委員会の中で確認しました。
その答弁は、「保険料と公費負担によって給付を賄い、収支の均衡を図る」ことであり、また法定外繰り入れを行って来た自治体の方が制度上はイレギュラー、国の方針で示している赤字解消、法定外繰り入れを削減していくことが保険者としての務めとのことでした。
法定外繰り入れというのは、国保財政の財源不足を補うために一般会計から繰り入れをしているお金のことを指しています。
一昨年、国保の財政運営は都道府県化され、法定外繰り入れを解消する方針が強く示されています。
市の法定外繰り入れ金も、昨年から毎年10%ずつカットしていく方針が示されています。
そして来年度予算では、今年度よりも2200万円法定外繰入金を減額しています。
本当にそれで良いのでしょうか。
今法定外繰り入れを失くしたら、国保財政は益々厳しくなり、所得の低い加入者の負担が更に大きくなるだけです。
今、市民の生活をしっかりと見つめるなら、法定外繰り入れは減額してはいけません。
住民福祉の向上に務め、市民生活を守ることこそ市の努めです。
国民健康保険は国民皆保険制度を下支えする、重要なセーフティーネットと位置付けられています。
全ての国民の健康で文化的な生活を送る権利を保障する、社会保障です。
セーフティネットとしての国民健康保険制度を、しっかりと守るべきです。
市にしかできないことだと思います。