子どもの難聴のはなし
医療生協さいたま産が毎月発行する『健康と平和』3月号に、「子どもの難聴」と題した記事が掲載されています。
記事を書いているのは、埼玉協同病院耳鼻咽喉科部長 越智篤先生です。
近年、難聴の早期発見・早期診断により、補聴器や人工内耳などの使用を早期に開始することで、高度な難聴の子どもでも正常な聞こえの子どもに近いレベルで会話できるようになることがわかってきたと、だからこそ新生児聴覚スクリーニング検査の大切さが強調されています。
詳しい検査で難聴の原因と程度がわかったら、軽度から中程度の難聴の場合は補聴器をかけ、言語聴覚士によるリハビリや、聞こえと言葉の教室・ろう学校などで療育を受けます。
高度の難聴の場合は「人工内耳」という機械を耳の骨の中に埋め込む手術をして、リハビリ・療育を根気強く受けることで、話声を聞き取ることができるようになるとのことです。
スクリーニング検査で難聴を指摘されても、詳しい検査で難聴ではないことがわかることもよくあるとのことです。
一方で、スクリーニング検査では異常なしと診断されても、その後徐々に難聴になることもあるそうです。
多いのは中耳炎による難聴。
少ないものとしては遺伝性の疾患による難聴で、10歳ころまでに徐々に高度の難聴が進行していくものや、おたふくかぜの後で難聴になる場合もあります。
前にもお知らせしましたが、今開催されている3月議会の予算案には、新生児聴覚スクリーニング検査費用の公費助成が盛り込まれています。
これも前にもお知らせしましたが、私は公費助成が必要だと要望してきた立場なので、今回の予算化(案)をとてもうれしく思っています。
しかし、以前議会の一般質問で取り上げて要望したときには、助成しなくても新生児の7~8割が検査を受けていると、助成の必要性を否定する答弁でした。
今回助成する方針を打ち出したのは、県が医師会と集合契約を結び、助成へと踏み出したからです。
そして、なぜ県が助成に向けて踏み出したかというと、こんなデータがあるからだと思います。
第3回 難聴児の早期支援に向けた保険・医療・福祉・教育の連携プロジェクト会合
(厚生労働省・文部科学省)『すべての新生児が聴覚スクリーニング検査を受けて
確実に早期療育につながる体制の実現に向けて 』に掲載されている資料です。
全国的に公費助成している都道府県はまだまだ非常に低く、2016年時点で埼玉県はゼロ。
こうした状況を背景に、ようやく県が動き出し、それに押されて市も動き出した・・・。
そんな感じです。
それでも公費助成されることで、検査を受けられる人は恐らく増えるものと思われます。
一人でも多くのbabyが検査を受け、難聴の早期発見・早期治療・早期リハビリが実施され、より困難の少ない状況で他者とのコミュニケーションが図られることを願ってやみません。
『健康と平和』3月号、医療生協さいたまホームページにも掲載されています。
ぜひ、のぞいて見てください。
https://www.mcp-saitama.or.jp/column/pdf/202103.pdf
県のホームページにも、わかりやすいリーフレットが掲載されています。
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/19073/choukaku_leaflet.pdf