被災者の「復興する力」を支援する避難所対策を
お知らせすることができていませんでしたが、昨年の3月議会で私が取り組んだ一般質問のひとつが「避難所対策の強化を」ということでした。
その少し前に自治体問題研究所・自治体研究社主催の避難所対策についての研修会に参加し、イタリアの避難所対策について学び、とても感動しました。
イタリアも日本と同じように地震の多い国ですが、災害救助体制が日本よりもはるかにスピーディーで充実しているのです。
災害が起きると、真っ先にトイレが届くそうです。
それも簡易式のトイレではなく、日本の工事現場のような、雨の日には外で傘を差しながら順番待ちをしなくてはならないようなトイレでもなく、しっかりとしたトイレが届くそうです。
48時間以内にはテントや簡易ベッドも届き生活環境が整うそうですが、キッチントレーラーも来て食堂で温かい食事が提供されるそうです。
キッチントレーラーでは他の被災者のみなさんと顔を合わせて食事を摂ることができ、受けた被害について語り合ったり、情報交換したりすることができるような空間が確保されているそうです。
それに引き替え日本の被災者への食事は1日当たり330円。
この事実に、私は本当に衝撃を受けました。
日本の被災者は冷めたコンビニ弁当とか、おにぎりとか、パンとか。もちろんそれはそれで無意味だとは言いません。食べることができるという事実そのものは大切なことです。
でも、被災した人がホッと安らげるような温かい食事、そういう物が初めから想定されていない予算だと思います。しかも災害救助法では、その救助機関は7日間とされています。
イタリアでは「災害支援には哲学が必要」と考えられていて、「哲学」との言葉が示すのは「人権」「尊厳」といった意味のようです。災害支援は単なる個人救済ではなく、公共の福祉と捉えられているそうです。
日本では避難所の環境を良くすると長居する人が出てくる、だからあまり環境を整えない というような考え方がされがちです。初めから被災した方を疑ってかかるような考え方で、とても冷たいと感じます。
今、能登半島地震後の現地の様子について様々な報道が繰り返されています。
今日のニュースでは倒壊した建物の中に閉じ込められていた80代の女性が救出されたという報道もあり、現地で救助や支援にあたってくださっているみなさんには頭が下がります。心から感謝です。
ただそういう現場での懸命の支援とは全く別の話として、思うのです。
被災地に届いた「食事」として映し出された個包装のパン。
道路が寸断されているために、支援物資がなかなか届けられない状況。
犬がいるので避難所に行けないと、車上生活をしている方。
気持ちよく使えるトイレと、温かい食事、そして一人1台の簡易ベッド又は段ボールベッド。
避難所の環境が劣悪なために被災者が命を落としたりすることのないように、被災者の「復興する力」を支援する避難所対策であるべきだと、テレビの画面を見ながら改めて思います。