珈琲の色

2024年07月03日

社会人2年目くらいまで、私は珈琲にはお砂糖を2杯くらい入れて、それからミルクもたっぷり入れて飲んでいました。
今思うと砂糖汁かミルク汁に珈琲の色が軽く付いていたくらいの飲み方だった気がします。

先日亡くなった「訃報」の友人とは、よくファミレスで待ち合わせをしました。
とんでもなく相手を待たせることになった時でもファミレスでは珈琲を何杯でもお替りできるし、珈琲を飲みながら本を読んでいれば待ち時間もさほど気にならない・・・。
そんな感じで、名古屋の地下鉄覚王山駅の出口からすぐのところにあった「地中海」というファミレスで、私はいつもいつも珈琲を何杯も飲みながら読書をしていたものでした。

友人もいつも砂糖やミルクを山盛り入れていたのですが、ある日急にブラックで珈琲を飲み始めました。
びっくりして「どうして?」と聞いたとき、その友人は「珈琲の色って奇麗だと気付いたから」と答えたのでした。
その答えにも私はまた驚いて、「珈琲の色????」「奇麗か???」と何度も何度も眺め直しました。

奇麗かどうか、未だによくわかりません。
が、その日以来私も珈琲はブラックで飲んでいます。
そして未だに珈琲を飲みながら、「珈琲の色、奇麗なのかなぁ」と一瞬考えます。
が、ミルクを入れて濁った珈琲を飲みたいとは思えなくなってしまいました。

珈琲の色が奇麗だと思える日が来るのかどうかはわかりませんが。
私の中では、珈琲とその友人は必ずセットです。

些細な話だけれど、私の中では忘れられない一つの物語。
こういう思い出を共有できる唯一の友人が亡くなってしまいました。
灰になってしまいました。
とても淋しく、悲しい・・・。