第25採択地区教科用図書採択協議会

2023年07月27日

三郷市役所で開催された「第25採択地区教科用図書採択協議会」を傍聴してきました。
第25採択地区というのは三郷市・八潮市・吉川市の3自治体で構成されていて、今回は来年度から改訂される小学校教科書の採択が行われました。

私は「吉川市 教育を考える会」のみなさんと一緒に、2018年からこの教科書採択を傍聴してきています。
これまで私はこの協議会に対して、様々な要望を重ねてきました。例えば2018年に初めて傍聴した時には、傍聴者は10人と限られていました。協議会の傍聴は教科書会社の方と思しき方々もたくさんいらっしゃっていましたし、安倍政権下で改訂される教科書への関心も高まっていましたので傍聴に集まった人は20人を超えていたと記憶しています。事務局の計らいでくじ引きか何かで、10名以上に数人は傍聴させていただくことができたという記憶です。しかし肝心の協議の場面になったら外に出されてしまい、一番聞きたい部分、何故その教科書を選ぶのかということが全くわからない状況だったと記憶しています。
傍聴者を10名に限定するのはおかしい、協議の部分もちゃんと公開するべきだということを要望し、今はそのように変わってきているという事実を嬉しく受け止めています。
でも、今日傍聴して新たな課題を感じています。
今日は各社が発行する教科書を教科ごとに読み込んだ「専門委員」の代表者が、各社の教科書の特徴を発表しました。そしてその発表が終わると質疑応答。そして協議会委員のみなさんの協議を経て、採択へと進みました。
しかし専門委員の報告に対する質問はわずか3件。協議の際には誰一人発言する人もなく、採択へと進みました。しかも各自治体は、既に事前の会議でどの教科書を選ぶかを決めた上でこの会議に参加しているのです。
各専門委員の報告を聞いて決めるのではなく、もう決めているのに形だけ報告を聞く・・・。
そういう会議にどれだけの意味があるのか。そういう会議が公開されていても、それが本当に「開かれた」教科書採択なのかどうか、疑問が尽きません。

全然話は違いますが、長男は小学校3年生の時にとっても素敵な先生に出会いました。
その先生の授業はすぐに脱線してしまうらしいのですが、その話が何とも興味深いものらしく、長男は毎日「お母さん、知るって楽しいね」「ワクワクする」と言いながら一年間過ごしました。
ラッキーなことにその先生に6年生の時にも担任していただき、長男の小学校生活はとても素晴らしいものだったと今でも思っています。
どの教科書を使うかよりも、先生たちが何をどのように教えたいかという先生自身の哲学が問われているようにも思います。
今の日本では政府の意図する教科書が作成され、それを形どおりに教えることが教職員にも求められ、学ぶことの意義・楽しさを自由に教えることも学ぶことも許されていない気がします。
それが本当に「教育」なのかも疑問です。

今日の専門委員の報告で一番面白かったのは音楽の教科書でした。
とってもプレゼン能力の高い先生が報告してくださったのだと思いますが、教科書を見ていない私にも各社の特徴がとってもよく分かりました。素晴らしい報告でした。
でもびっくりしたのは「君が代」についてでした。教科書に「君が代」がどのように位置づけられているのか、国家を歌う時のマナーまでも言及されているという事実を知り、とても驚きました。「君が代」を歌うマナーって何なんでしょう?それが教科書に書き込まれ、教え込まれるという事実が逆に怖いと感じてしまう私です。
教育って基本的なことを子どもたちに教えつつ、そこから着想を得て子どもたちが自由に発想し生きる力に替えていくものではないでしょうか。
国家が求める「あるべき姿」を子どもたちに押し付けるのは教育ではなく、「強制」だと感じます。