自宅監禁のない社会を!
今日の東京新聞社会面、統合失調症に関する二つの記事が掲載されています。
一つは37歳の統合失調症の長男を4か月間手錠をかけて監禁し衰弱死させたとして、両親と妹が逮捕されたという報道です。
大学在学中に統合失調症を発症、治療を受けていなかったとの報道です。
昨年5月に全裸で外出し警察に保護され、そのあと監禁が始まったとみられているとの報道から想像するに、ご家族も統合失調症の息子さんとどう接したらよいのか、きっと相当困っていたのだろうと想像します。
私の最初の職場は精神科病棟でしたが、その頃の精神医療はまだまだ薬をたくさん使っていて、患者さんたちは薬でクタクタでした。
幻覚や妄想を抑える薬、不安を抑える薬、眠るための薬、副作用止めの薬、便秘薬などなど。
たくさんの薬で活動性が低下して、おまけに多くの病院は病棟の入り口に鍵がかけられていて、そういう環境の病院に入院しなくてはならないこと自体に打ちのめされてしまう患者さんもいらっしゃったし、治療を拒否して更に症状を悪化させてしまう方もたくさんいらっしゃいました。
でも今は精神医療に対する考え方は大きく変わり、副作用の少ない良い薬が開発され、患者さんを薬漬けにするようなこともなくなりました。
社会の中で生活することが大切にされ、そのためのリハビリなどもとても充実しています。
統合失調症がどういう病気なのか、精神医療にかかわるたくさんの方が本も出していますし、当事者や家族の方も出版されています。
もし亡くなった方が医療にしっかりと繋がっていたら、ご家族が適切な支援を受けられていたら、こうした事態を招くことはなかったのではないかと思います。
とっても残念です。
統合失調症と向き合っていくうえで大切なのは、適切な医療と正しい知識だと思います。
今日の東京新聞社会面でもう一つ大きく掲載されていた記事は、「もりのこどく」さんの動画です。
16歳で統合失調症を発症した「もりのこどくさん」。
YouTubeでCGキャラクターを使って統合失調症患者の体験と日常を発信しています。
早速YouTubeを検索してみました。
薬のピアスをつけた女の子が、統合失調症がどんな病気なのか自身の体験をもとにわかりやすく話してくれます。
「19歳 高校5年生」
「3分でわかる統合失調症」
「妄想を語ってみた」などなど。
すっごく大変な病気だけど「今日も生きててえらい!」だし、「今日も生きててくれてありがとう」だし。
大変な病気だけど、病気とうまく付き合いながら生きていく道がある・・・。
そんなことを教えてくれる動画だと感じました。
この動画がもっともっと広がって、今苦しんでいる誰かに届くといいなぁと思います。
統合失調症に苦しんでいる人にも、ご家族や友人にも、そして統合失調症を全然知らない人にも。
正しい知識がちゃんと広がり、統合失調症に苦しむ人が適切な医療にちゃんとつながり、そして自宅監禁などありえない社会ができることが、今本当に大切なことだと思います。