舞台『この夜は終わらぬ』

2023年06月10日

議会中ですが火曜日に本会議、水曜日に文教福祉常任委員会が終わってホッとしていることもあり、お芝居を一本観てきました。
劇団俳優座の『この夜は終わらぬ』。

「多文化共生」をテーマにした話と聞き、「これは観なくてはと」思い行ってきました。
色んな問題がいろんな形で表現されていて、本当に面白い舞台でした。

怪我をして救急搬送された夜間中学生。
救急車に一緒に乗って来院した在留外国人。
事件かどうかもまだわからない状況なのに、警察官がやってきて外国人に在留資格証明書の提示を居丈高に求める・・・。
夜間中学に通うのは外国人が8割。
そして高齢者に引きこもりの若者。
日本語がわからなかったので知能テストでIQが低いと判断され、特別支援学級に入れられた外国人が夜間中学で普通の学力を身につける。
高齢の中学生は入学した時には「国」という字が書けなかった。中学校で学ぶことによってあちこちに書かれた文字が読めるようになって、「嬉しかった」と。
外国人の血液と日本人の血液は違うのか?
不妊と離婚。
息子に先立たれた認知症高齢者。
性的倒錯。
歳の差カップル。
レイプ被害と妊娠と堕胎術。
たった90分の舞台の中にあらゆる問題が描き出されていて、優しくて悲しくて面白い・・・。そんな舞台でした。

なぜ、今こういう舞台が上演されるのでしょう。
人権を踏みにじる行政上の問題が次々と明らかになる中で、それを解明しようともせずに強行採決が行われた入管法の改悪。
「性自認」の問題が「性同一性」という疾病の問題に置き換えられ、性的少数者の権利や尊厳が「多数派が認める範囲」にとどめられ、更なる差別と偏見の助長が懸念される「LGBT理解増進法」の審議入り。
何よりも5年間で43兆円の大軍拡、軍事国家への道は「多文化共生」とはあまりにも相いれないものではないでしょうか。
こうした時代背景の中で「多文化共生」に注目し、描かれた作品です。
とても貴重な作品だと思います。