草加保健所の保健師の増員を

2021年03月09日

2月26日の会派代表者としての質問。
私が取り上げた問題の一つに、吉川市を管轄する草加保健所の問題があります。

昨年12月20日、朝日新聞社会面には「保健所鳴りやまぬ電話 24時間電話対応 休憩取れない」と題した草加保健所の厳しい現状が大きく報道されました。
人口約56万人に対し、職員は常勤保健師約10名を含め、約40人。
厚労省の調査で、2018年末現在人口10万人あたりの保健師数全国平均41.9人に対し、草加保健所管内はわずか1.8人とのことです。
県内でも最も厳しい状況に追い込まれた保健所と認識されていると聞いています。
行革路線のもとに保健所は統廃合が進められてきましたが、過剰な統廃合による人員不足により、感染源の追跡も十分に進まず、感染拡大に追い打ちをかけたとみられています。
市として、県に対して草加保健所の保健師の増員を求めるべきだと思います。
市長の見解を問いました。

市長の答弁は、「草加保健所・県の東部振興センターと早い段階から意見交換を行い、連携を深めてきた。そういった中で県の職員を東部の総合的な調整官役として、春日部保健所に配置していただくことも実現した。更に吉川市は埼玉県と保健所業務の実施に関する協定を締結させていただいており、要請に応じて保健所業務に従事できる体制を構築している」というものでした。

私は、以下のような発言をしました。
埼玉県は12月に、来年度の新規採用保健師数を38名と発表しました。
保健師も含め、職員定数を119人増やすということで、約30年ぶりの増員です。
それでも、県所管の保健所は13カ所で、一カ所あたり単純に計算すると増員数は10名にも満たない、保健師も1保健所あたり3人程度と考えられます。
草加保健所の窮状は県も十分承知していると聞いていますので、これよりは多いのかもしれませんが、全国平均人口10万人あたり41.9人のところ、草加保健所は1.8人。
あまりにも異常な少なさです。
こうした状況を正すように、せめて全国平均並みの保健師をそろえるように、首長としてしっかりと県に要望するべきだと思います。
もともと保健所法では人口30万人に1箇所の設置が求められていました。
平成6年に地域保健法に改定された際、二次医療圏または老人保健福祉圏とおおむね一致する区域とすることを原則として定めました。
しかし、54万人もの人口を包括する保健所が本当にそれで良いのかということが、今回のコロナ禍で問われたと思いますし、無理だという答えも明らかになったと考えています。
市長の考えを問いました。

市長の答弁は、「保健所に関しては私たちも危機感を持っていたので、早い段階から保健所をサポートしたいということは申し出をしている。保健所云々というのはそれぞれの組織が、それぞれの予算・人員を決めていくこと。私たちが声高にそこを叫ぶより、今必死で働いて頂いている保健師の皆さんをいかに支えていくかというところに、しっかりと県とタイアップしていきたい」というものでした。

そうかなぁと思っています。
「吉川市は埼玉県と保健所業務の実施に関する協定を締結」していて、「要請に応じて保健所業務に従事できる体制を構築している」と言っても、それで保健師数が満たされ、ひっ迫した状況が改善するわけではありません。
そもそも、それで解決するなら朝日新聞のこんな記事は出ないのではないでしょうか。
ひっ迫している、全県的に見ても全国的に見てもあまりにも厳しい状況、だからこそ大きく報道されたのではないでしょうか。
「全国平均人口10万人あたり41.9人のところ、草加保健所は1.8人 」というこの状況に、吉川市の保健師が応援に駆けつけても、どんなに頑張ってもひっ迫状況の改善には遠く及ばないのではないでしょうか。

地方自治体の基本的な役割は、「住民の福祉の増進を図ること」です。
住民の福祉の増進を図りながら、住民福祉のあり方・問題点・課題などについては国や県に発信し、国や県の姿勢を変えていくのが首長としての役割ではないでしょうか。
吉川市を所管する保健所がひっ迫していて、今私たちの最大の課題であるコロナ対策が十分に行える状況にない・・・。
そういう状況の中で、地域住民の感染予防・健康増進が危機に晒されている・・・。
県に協力すること、タイアップすることももちろん大切だと思います。
しかしそれだけではなく、保健師を増やし、適正配置し、市民の健康をちゃんと守るよう求めていくことも首長の責任だと私は考えます。