週刊金曜日『虎の翼』特集
週刊金曜日7月26日号は『虎に翼』特集です。
木村草太さんも書いていますが、ドラマの冒頭は、制定されたばかりの新憲法が新聞に掲載され、それを河原で虎子が読み上げるところから始まりました。
第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」。
このスタートに、どんなドラマ展開になるのだろうとワクワクし、一瞬にして惹きこまれてしまいました。
きっと同じような感覚で観ている人は、とても多いことでしょう。
「日本国憲法も重要なキャストだ」。木村草太さんの言葉、すごく的を得ていて、胸に刺さります。
ドラマを観ていて、何となくぼんやり疑問に感じていたことの答が分かりました。
まずは穂積先生。
ドラマの中では虎子が法曹界を目指すきっかけになった人であり、明治大学女子部の設立に尽力し、女性の法曹教育・女性の弁護士誕生に深くかかわった方です。
明治大学元教授の吉田恵子さんは「穂積は女性や子ども、貧しい人など社会的弱者に心を寄せた人で、早くから女性問題に関心を持ち、現行の民法や家族制度に批判の目を向けていた」方とのことです。
この時代にどうしてこんなに柔らかい考えの方が生まれたのだろうと思っていたのですが、なんと穂積先生のお祖父さんは渋沢栄一!!!
きっと経済的にも豊かな環境で育ち、自由で深い学びができたのだろうと想像しながら読みました。
それからなぜ女性の法曹教育が明治大学から始まったのかということも、何となく疑問でした。
「当時法律をまなんだ者の職業にははっきりとした序列があり、トップが行政官、次いで司法官、最後が弁護士で、判事・検事よりも下に置かれた弁護士の多くは私学出身だった」とのこと。
「女性の法曹を育てることは国策だったけれど、女性弁護士の輩出を目指す学校が帝国大学ではなく明治大学に置かれたのは、このことと関係があるかもしれない」。
「東京や京都の帝国大学は、女性を入学させるのも戦後。戦前は国の役人を輩出する大学だというプライドが非常に高く、そこに女性は入れられないという感覚があったのではないか」。
なるほどなぁと思って読みました。
弁護士の土井香苗さんの記事も、とても面白いです。
1990年台ころの日本には司法研修における検察官採用では、女性はクラスから原則一人しか採用されない状態が5年間も続いていたという事実には驚きました。刑事司法ではマイノリティや人権の視点の不足が深刻。最高裁裁判官は15人中、女性は最高でも3人しかいたことがない。そして人権救済手段が日本には乏しい。
日本の法曹には、まだまだ課題がいっぱいあることがよく分かりました。