過度な徴税・差し押さえをしないでください♡
9月議会で、私が訴えようと思っていたことの一つに徴税の問題があります。
今回、個人市民税の徴税見込み額が当初予算よりも1億3000万円多いとして、補正予算で増額されています。コロナウイルスの影響が、見込みよりも少なかったとのことです。
しかしその増額の背景に、過度な徴税・差し押さえが行われていないのかどうか、確認したかったのです。
この春、ひとりの年配の方と出会いました。
正確な年齢は知りませんが、70歳前後だと思います。その年になるまで普通に働き、普通に納税もしてきた方です。何度かお会いしてお話を伺いましたが、「普通の善良な市民」という印象を持ちました。
しかし昨年、交通事故に遭い、全てが一変してしまいました。
後遺症=足の痛みがひどく、仕事ができなくなってしまったのです。
今年の春までは事故の相手方の保険で、仕事を休んでもその分の給与が保障されました。
しかし今年になって会社から解雇されてしまい、保険での給与保障もなくなりました。
元々、年金だけでは生活ができませんでした。貯えもありません。
生活がいっぺんに厳しくなってしまいました。
おまけに、住んでいたのが社員寮のようなところで、解雇と同時に新たな住まいを探さなくてはならなくなりました。事故が原因でこうなっているのに、必要な経費を保険で支払ってもらえるというようなこともありませんでした。
友だちにお金を借りながら、なんとかかんとか遣り繰りをして、年金が入ると借金を返す・・・。
そんな生活になってしまいました。
国民健康保険税など、税の滞納が発生するようになってしまいました。
そして今年7月のある日、その方は困り果てて、又私のところにやってきました。
家賃の滞納をしていて、数日内に支払わなければアパートを追い出されてしまうというのです。
お金を貸してくれる人も、もう誰もいないと・・・。
よくよく話を聞くと、税金の滞納をしていて、預金通帳に残っていたお金が差し押さえられてしまったというお話でした。
2か月分でも20万円に満たない年金が振り込まれ、その方はそこからお金を引き下ろして友達に借りたお金を返しました。
そして残りのお金で滞納している家賃を支払うつもりでいたのですが、そのお金が税の滞納で差し押さえされてしまったと言うのです。預金残高はゼロ。
その方の手元にあったお金は約8,000円でした。
市役所の担当課に行って事情を話し、返金を求めましたが、「既に執行されたものは返金できない」とのことで、叶いませんでした。
そうすると、アパートから追い出されることは必然。
しかも手元のお金がわずか8,000円では、次の年金受給日までの生活が成り立ちません。
すぐに生活保護を申請し、保護決定が下りるまで低額無料宿泊所に入所することが決まり、事なきを得ました。
しかしこれは、過度な徴税、行き過ぎた徴税ではないかと私は思っています。
国税徴収法第76条には、「その差押えにより生活の維持を困難にするおそれがある金額については、差押えを猶予し、又は解除することができる(法第152条第2項)」と記されています。
生活維持が困難になるような差し押さえは、してはいけないこととされているのです。
担当課からは、何度も通知を送り、納税相談に来るようにと促してきた。しかし、その方が市の求めに応じなかったのだというようなお話がありました。
口座からある程度の金額を引きおろしをしているので、既に必要な生活費は確保しているものと見做して、残っているお金を差し押さえたのだとのお話もありました。
私は、市の職員のみなさんは基本とても丁寧に仕事をしてくださっていると思っています。
なので、話してくださったことは本当にそのように考えて、職員さんなりに配慮して差し押さえをされたのだと思います。
それでもその方と直接会って、その方の生活実態を直接伺って、その上で差し押さえという動きにならなかったことはとても残念に思います。
もし、直接お話を聞いていたら、こういう差し押さえはされなかっただろうと思います。
滞納されている方は心苦しさもあり、追い詰められていることもあり、市から手紙が来たからと言ってすぐに話し合いをしようとする人は案外多くはないんじゃないかと思います。
もう少しまとまったお金ができて、支払いができるようになってから話しに行きたいと思う方も、多いような気がします。
今回相談してくださった方は、困ったら共産党に相談しようと以前から思ってくださっていたそうです。
そういう方なので、大事に至らずに解決に向かうことができたのかもしれません。
誰かに相談するのが苦手な人、誰に相談したら良いのかわからない人、ひとりで抱え込んでしまう人だったら、こんな風にスムーズに次の手が打てたかどうか、わかりません。
税の差し押さえは、時として人の命にもかかわる大問題だと思います。
こういう事例が一件あったということは、他にもあるのではないかと思います。
徴税についての市の見解を問いました。
総務部長は「預金の差し押さえをするまでには度重なる納税の相談、あるいは徴収のお伺いをさせていただいて、交渉を続けている。滞納をされている方とよく相談をしながら、もし生活に非常に支障を来すようであれば、福祉部門への手当てなどをしっかりやっていく必要があったのかなと認識している。差し押さえにあたっては、その辺をよく留意して実施していきたい」と答弁されました。
誠実さを感じる答弁だったので、答弁通りに実施するように職員のみなさんをリードしてくださるものと信じたいと思います。
税の滞納で、生きることを放棄する人が一人も出ることのないよう、温かい対応を望みます。