音楽朗読劇『女の子たち 風船爆弾をつくる』
もう15年以上前の話になってしまいましたが、民家改修型、一日の利用者8人というとても小さなデイサービスの管理者兼ケアマネをしていた時期がありました。医療依存度の高い若い要介護者や、認知症の周辺症状が強い方、当時の一般のデイサービスではなかなか受け入れてもらえないような方々を主な対象者とするデイサービスでした。
とても小さなデイサービスなので経営が非常に厳しかったこと、法人全体としてもその当時の経営状況が厳しかったこと、それでもそのデイサービスを「協働経営したい」と言ってくれる方が現れて、いろいろと検討した結果、法人としてはその方に事業譲渡するという選択をしたことで、私がその事業にかかわったのは数年だけでした。
それでもその数年間はとても楽しく、貴重な経験の毎日でした。
そのデイサービスの利用者のAさんが、来る日も来る日も毎日繰り返し話してくれたのが風船爆弾でした。
毎日デイサービスを利用されていたのですが、一日に200~300回くらい同じ話をしてくださったので、Aさんにとっては相当強烈な記憶だったのだと思います。
大学の勉強は全くなくて風船爆弾を作っていたけど、あんなものがアメリカまで飛んでいくはずがないと、必ず小ばかにするようなオチで終わるお話でした。
毎日同じ話を聞き続けたので、私にとってもすっかり馴染の話になってしまいました。
その風船爆弾がアメリカまで飛んで行ってオレゴン州で6人が亡くなったと知ったのは、5年前に『東アジアの平和を考える会』のツアーで中国、ハルビンにある「侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館 」に行った時でした。
びっくりしたし、できることならその方にアメリカまで飛んで行った事実を教えて差し上げたいと思ったほどでした。
今日は銀座王子ホールで開催された音楽朗読劇『女の子たち 風船爆弾をつくる』を観に行ってきました。テーマを聞いたとき真っ先にAさんの顔が思い浮かび、何が何でも観なくては・・・と思い、行ってきました。
美しい音楽にのせて、風船爆弾を作った女性たちの人生が語られていました。
風船爆弾を作ったのは宝塚東京劇場で、和紙とこんにゃく糊で作られたこと。登戸研究所の研究に基づき作られたこと。
アメリカでの被害などもしっかりと語られていて、美しさの中にリアリティのある素敵な作品でした。観に行って良かったです。