黒字の積み上げではなく、介護保険制度の充実に尽力を
9月議会の「吉川市介護保険特別会計歳入歳出決算」に、日本共産党吉川市議団を代表して反対討論をしました。
その内容をお伝えします。
吉川市の介護保険給付費準備基金は925,554千円で、大変おおきな黒字が積み上げられています。
吉川市だけでなく全国的に見ても、2000年に介護保険がスタートして以来、介護保険財政は一貫して黒字だと言われています。
にもかかわらず、介護保険料はスタート当初の約2倍。
その一方で介護保険サービスは利用抑制が進められており、介護報酬も低く抑えられています。
その結果、介護職員の給与が低く抑えられ、せっかく資格を取った介護職員の方々が仕事を辞めていってしまう状況はずっと変わりません。
ある調査によれば、介護職の資格を持つ約250万人のうち、働いているのは85.6%とのことです。
介護の社会化を目指して始めたはずの介護保険制度は、今では自立や自助・共助ばかりが求められるようになっています。
その結果、介護離職も介護虐待も改善していない状況が続いているのではないでしょうか。
介護職員の転職が繰り返され、入所施設などでも安定した雇用が課題になっています。
なぜそうした問題が起きるかと言えば、介護職員の労働条件の悪さにあるのではないでしょうか。
介護保険制度がスタートして21年も経ちながら、介護が必要な要介護者も、それを介護する介護者も、そして介護事業に携わる介護職員も幸せになれていない、より良い状況が作られていない、こうした点に介護保険制度の行き詰まりを感じています。
高齢者は増えていますし、これから更に増えていくことは明らかです。
しかしその分、1号被保険者、介護保険料を直接支払う人も増えています。
健康づくりやフレイル予防などが注目される中で、またサービスの利用抑制が続く中で、サービスを使う人の割合は減っていくことが予測されます。
こういう状況の中で、基金の積み上げをするのではなく、積み上げられたお金が要介護者へのサービスや、介護報酬などにしっかりと使われるように、国や県と共に検討していくべきです。
この反対討論を準備するにあたって、介護保険制度について改めてたくさん勉強しました。
その中でもまとまっていてとても良いと思ったのは、自治体問題研究所発行の『住民と自治8月号』、それから全日本民医連の事務局次長 林泰則さんがまとめた資料でした。