2月3日、ジラード事件が全国に報道された日

2023年02月03日

今日の日本共産党吉川市議員団の学習で学んだ「今週の知ってるつもり」をご紹介します。
今日、2月3日は「ジラード事件」が全国に報道された日とのことです。

占領軍から駐留軍へ

1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約と共に日米安保条約が発効しました。
アメリカ軍は占領軍として引き続き、日本に居座ることになりました。戦争中の日本軍の飛行場や施設だったところの多くが在日米軍基地や施設となりました。その頃、全国に2824か所、約26万人の軍人軍属が駐留していました。
このころ、全国の米軍基地内外で米兵による事件事故が大小合わせて年間5~6000件もあったそうです。
自転車にのっちた親子が米軍機に衝突されて亡くなったゴードン事件(1957年8月)や、電車に乗っていた学生が米軍基地から発射された銃で撃たれて亡くなったロングプリ―事件(1958年9月)など重大事故もありました。
ジラード事件もその一つだったそうです。

ジラード事件とは

1957年1月30日、群馬県相馬村の米軍キャンプ演習場(通称:相馬が原演習場)で、演習場に入って薬莢拾いをしていた日本人主婦が、演習中のジラード陸軍特技兵に撃たれて即死したという事件が発生しました。
この頃、拾い集めた薬莢を売って生計の足しにすることが日常的に行われていたそうです。
当初は流れ弾にあたったと思われていましたが、狙って撃った殺人事件ではないかとの疑いが浮上したのです。
群馬県警と地検は日本の裁判所での審理を求めますが、その頃米兵が起こした事件の97%は容疑者米兵が帰国したり、アメリカ側に裁判権があると決定したケースでした。
事件が起きても現実には、被害者側(日本人)が泣き寝入りするしかない状態が続いていました。日米地位協定があるからです。ではジラード事件の裁判はどうなったのでしょうか。

裁判権について日米合同委員会を開催

事件後の57年2月3日に全国紙で報道されると、米軍は「ジラードの発砲は任務上のこと」と発表し、したがって裁判権は米側にあると主張しました。
しかし群馬県警が目撃証言などから、殺人の可能性があることを突き止めていきます。ジラードは「ここに薬莢がたくさんあるよ」と指さしながら、女性を近くへ招き寄せておいて、それを拾おうとすると突然「get out here!」と叫んで、逃げる女性を後ろから銃で撃ったと目撃者は証言していたのです。
それに対して米軍は、発砲は持っていた機関銃を守るためだったと主張しました。

米軍が「公務中だった」と証明書を発行した事件の第一次裁判権はアメリカにあるので、これを覆すのは容易ではありません。前橋地検はジラードの当日現場での行動から判断して、公務中とは言えないと反論し、結果、公務問題と裁判権について日米合同委員会で協議することになりました。
そこでどんなy李鳥があったかは、議事録が不開示の為わかりません。
しかし米軍側は5月16日、突然裁判権を日本側に移譲すると発表したのでした。

合同委員会での合意=結ばれた「密約」

公務証明書を発行したにもかかわらず、日本側に裁判権を譲るというのは極めて異例なことでした。
18日、前橋地検はジラードを起訴しました。
それは殺人罪ではなく、傷害致死罪での起訴でした。警察の捜査で殺人罪が疑われていたのに、何故それよりも軽い「傷害致死罪」での基礎になったのでしょうか。
「アメリカ外交文書集1955~1957」に重大な記述があることが判明しました。
「日本とは密約出傷害致死より重い罪に問わないことで合意できており、更に日本の裁判所が重くない判決を与えるとの合意もできている」(ロバートソン極東問題担当国務事務官補から国務省への覚書、5月20日)が発見されたのです。
更にはこの裁判について、大統領への説明のために国務省がつくった草案(5月25日)には次のように書かれていました。

  • 事件は日本の司法で裁くことにする。ただし
  • 殺人罪ではなく、傷害致死罪で起訴すること
  • 裁判所に対しても可能な限り軽い判決とするよう働きかける
  • このことを日本側は極秘扱いとし、公表しない

という密約があったのではないか、という筋書きが見えてくるのです。

日米安保条約、地位協定は廃止しかない

8月26日、第一回公判が始まりました。第13回まで開かれますが、11月9日に出された判決は「懲役3年、執行猶予4年(求刑懲役5年)でした。検察側弁護側ともに控訴せず、この判決が確定し、ジラードは12月6日、米軍船でアメリカに向け出港しました。
米兵によって命を失うという重大な刑事事件が、密約によって被害者の人権を二重に踏みにじってしまいました。
更に、そんな密約は知りませんと日本政府は口を閉ざし、資料も開示しません。
それとは知らず、裁判の行方を期待しながら見守る国民への裏切り、どこから見ても日本政府の対応は国民の為ではなくアメリカのために動いているとしか言いようがありません。
米軍基地がある限り、米兵による犯罪は亡くなりません。
そして日米安保条約、日米地位協定がある限り、アメリカ従属の政治が続きます。
「日米安保条約を条約第10条に基づき廃棄し、アメリカ軍とその軍事基地を撤去させる、対等平等の日米友好条約を結ぶ」。
日本共産党の党綱領はこのように定めています。