5.3憲法集会「武力で平和はつくれない」

2024年05月09日

5月3日、憲法記念日のこの日、今年も有明防災公園で憲法大集会が開催され、3万2千人が集結しました。

メインスピーチは伊藤塾塾長・弁護士の伊藤真さんと、新外交イニシアティブ(ND)代表・弁護士の猿田佐世さんでした。伊藤真さんのスピーチを簡単にご紹介します。

憲法をいかす政治をとりもどそう!

7年前安倍元首相は自衛隊を憲法に書き込むとの改憲案を発表したが、未だに変えられていない。私たち国民市民の力で、憲法改悪をずっと阻止し続けることができたということだ。
私たち国民市民が必要もない有害であるだけの改憲に800億円ものお金を遣う、とんでもないことだ。憲法審査会で議論している、国会議員の任期を好きなだけ延長して良いなどという改憲を、国民が許しているわけがない。災害救助で頑張ってくれている自衛官を戦場に送り込むような自衛隊明記の改憲など、国民は絶対に求めていない。
私たち国民市民が求めているのは、平和で心安く、それぞれが自分らしく生きることのできる生活。憲法を活かす政治を今まさに取り戻さなければならない。

変えなければいけないこと

憲法改正の国民投票の手続きを定めた法律がまたひどい。ネットでの広告や運動資金など、やりたい放題。アメリカの軍需産業も莫大な資金を投入して、日本の憲法改正に介入することができる。国民主権にも反し、独立主権国家としての観点からも絶対に許して良いことではない。
憲法改正の手続きの法律を、妥当・公正なものに変えていかなければならない。

憲法の最も大事な核である「個人の尊重」、これを実現する。同性婚・選択的夫婦別姓の問題など、法律を変えれば実現できる重要な憲法問題。
憲法審査会ではこういう問題を議論し変えていく議論をすることこそ、憲法審査会の仕事ではないか。

憲法9条に感謝

1868年の明治維新で私たちの国は近代国家を作り始めた。大日本国憲法のもとで日本は天皇のための戦争を、77年も続けた。1945年の敗戦を迎えて、大きく日本という国を変えることになった。
戦前の日本は軍隊・宗教・天皇制が一体となって軍国主義を推進し、戦争に突き進んでいってしまった。新しい憲法はしっかりとこれを分離した。軍隊を持たない、政治と宗教をしっかりと分ける、天皇は象徴でしかない。憲法が施行された77年前の5月3日から、国家としての戦争をずっとしないできた。憲法9条のおかげで、世界の誰とも戦争で人を殺すこともなく、日本の国民も犠牲になることなくここまできた。

その裏には沖縄の犠牲や、様々な国との難しい問題や理不尽がある。しかし国家としては他の国と戦争をしないで今日まで来た。憲法9条のおかげであり、これに感謝したい。

憲法を無視した戦争する国への流れ

2014年の閣議決定で集団的自衛権の行使容認、そして翌年の安保法制、つい先日の安保3文書。自衛隊が他国の領土で戦争ができる部隊へと変えられてしまっている。
岸田首相は米軍と一体となって戦争できるようにすることを、約束してきてしまった。軍需産業を更に推進し、殺傷能力のある武器を第三国に輸出することを認めてしまった。
国内での経済安保の問題、こうした様々な問題が重要な憲法問題であるにも関わらず、「憲法なんかどこ吹く風」かと憲法を無視した政治がどんどん進められてしまっている。

憲法の力を使いこなそう!

だが、私たちには憲法がある。
こうして好き勝手なことを言っても、まだ捕まらない。表現の自由がまだ憲法で保障されている。こうして大勢のみなさんが集まる集会の自由も保障されている。
そして何よりも選挙権。先の3補選でもまさにその力が証明された。この憲法の力を、今こういう時だからこそ使いこなしていかなくてはならない。

憲法を守る役割

憲法の前文は日本国憲法の目的を書いている。
「日本中に自由と人権をもたらすため」、同時に「戦争をさせないため」にこの憲法をつくったと謳っている。「この二つの目的は、われらと我らの子孫のために」この憲法をつくったと書いている。
私たちはこれまで、戦争をしない国として憲法に守られてきた。この憲法に守られてきた私たちが、憲法を守るという役割を背負っている。
そのために、憲法を活かす政治をしましょう。決して77年前の戦争する国に戻ってはならない。

武力で平和はつくれない

武力で平和はつくれない、まさにこれは現実。ウクライナやガザを見れば誰でもわかる。
世界に誇る憲法の理想に向けて全国のみなさんと連帯し、憲法を活かす政治を取り戻そうではありませんか。
頑張りましょう。